「セールス=営業」という誤解 日本の「営業」とは経営そのもの

マーケティング先進国である米国に「営業」という概念はなく、日本における「営業」とは経営そのもの――。国際比較研究から見た日本の営業の特質、成果をあげる営業人材の要件について、「営業学」を研究する関西学院大学・佐藤善信教授に話を聞いた。

「セールス=営業」という誤解、日本の「営業」には広範な役割

――日本企業の「営業」の特質について、どのように見ていますか。

佐藤 善信

佐藤 善信

関西学院大学専門職大学院 経営戦略研究科 教授
1981年、神戸商科大学大学院 経営学研究科 博士後期課程単位取得退学、流通科学大学教授を経て2005年より現職。1993年9月より1年間、ビジネススクール(BS)の教育・運営を研究するために、ヴァージニア大学ダーデン BS に留学。帰国後、1996年より流通科学大学中内 BS 校長を2期務める。日本商業学会学会誌『流通研究』元編集長、日本マーケティング学会理事。博士(経営学)兵庫県立大学。

戦後、日本には米国から4P(プライス、プロダクト、プロモーション、プレイス)を軸とするマーケティングの理論体系が入ってきました。米国では、「売る仕組み」をつくる企業活動がマーケティング、その枠内で実際に「売る」活動をするのがセールスであり、販売部隊(salesforce)は4P においてプロモーションの中の人的販売に矮小化されています。

しかし、日本における「営業」は、マーケティングとセールスの両方を担っており、「営業」に相当する英語は存在しません。ドラッカーの言葉である「the aim of marketing is to make selling superfluous」について、「マーケティングの目的は...

(※全文:2120文字 画像:あり)

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