吉田松陰 個性を引き出す教育で、松下村塾から逸材を輩出

歴史に名を残す偉人は、どのような教育を受けたのだろうか。優れた教育者を通して、人材育成の秘訣に迫る。第1回は、高杉晋作や伊藤博文など、幕末から明治にかけて歴史を大きく揺り動かした人物を教育した、吉田松陰を取り上げる。

楽天家が起こした奇跡

吉田松陰像(山口県文書館蔵)

吉田松陰像(山口県文書館蔵)

吉田松陰は、長州藩(現・山口県)の下級武士の家に生まれ、六歳の時に兵学師範の吉田家を継いだ。ペリーの黒船艦隊が浦賀に来航したとき、江戸にいた松陰はすぐに現地へ出向き、黒船を見て「日本の船や大砲では敵わない」という危機感を覚え、翌年、下田に停泊していた黒船への密航を企てた。敵を知るためにアメリカへ渡ろうとしたのだ。

しかし計画は失敗し、幕府に自首した松陰は長州藩に連れ戻され、野山獄に放りこまれた。獄には囚人が十一名いたが、暖房もなくじめじめした所で、出獄の目途も立たない。なのに松陰は、知人に当てた手紙に「獄に繋がれたので、ますますやる気を出して文章をつくり学問を修めたいと思い…

(※全文:2007文字 画像:あり)

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