よりよい社会を目指す 重要文化財「筑前国嶋郡川辺里戸籍断簡」より

紙面いっぱいに引かれた細い墨の罫線。そこに1行につき1名ずつ、整然と書き込まれた人々の名前と年齢。そして、文字の上から力強く捺(お)された17個の鮮やかな朱印――。 ここに掲げた一枚の古文書は、いまから1300年以上前、大宝2年(702年)に現在の福岡県糸島市付近で作成された日本最古の戸籍原本『筑前国嶋郡川辺里戸籍断簡(ちくぜんのくにしまぐんかわのべりこせきだんかん)』である。 一見すると無機質な行政記録に見えるこの紙片には、実は当時のリーダーたちが描いた「より良い社会をどう構想し、いかにして現実の仕組みとして実装するか」という、壮大な国家デザインの軌跡が刻まれている。

重要文化財『筑前国嶋郡川辺里戸籍断簡(紙背 千部法華経校帳断簡)』 飛鳥時代・大宝2年(702年)/紙本墨書(楮紙)/縦27.0cm・長64.4cm 奈良国立博物館所蔵 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/collection_items/narahaku/871-0?locale=ja)

(※全文:1753文字 画像:あり)

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