特集1総論 防災庁設置と「公助の限界」を超える組織・人材

2026年7月成立の「防災庁設置法」[注1]に基づき、11月に内閣直属の「防災庁」が発足する。司令塔強化は急務だが、住民を守る第一義的責任を負うのは現場の基礎自治体だ。過疎・高齢化が進む中、行政がすべてを抱え込む「行政完結型」防災は限界にある。問われているのは中央省庁の再編にとどまらず、地域全体で危機に立ち向かう「組織と人材」の刷新だ。イタリアの「市民保護システム」を補助線に、地方防災局の役割と自治体職員の「越境型リスキリング」の針路を考察する。

「防災庁設置法」[注1]

過疎・高齢化の現場で崩壊する
「行政完結型」防災

能登半島地震が突きつけたのは小規模自治体の「人的限界」だった。職員数十人規模の町村では専任防災担当者は1〜2名で、多くは他業務と兼務だ。発災直後、自ら被災した職員が電話応対や避難所開設に追われ瞬く間に疲弊した。

深刻だったのは外部応援や物資を受け入れる「受援体制」[注2]の機能不全だ。何を要請し支援者をどう差配するかを統括できず、物資停滞や避難環境改善の遅れを招いた。行政が抱え込み、市民が「守られる側」に固定化された従来の公助モデルは巨大災害下では破綻する。

イタリア「市民保護システム」の精髄
ボランティアを公的戦力にする教育と制度

地震・水害多発国のイタリアは、首相府直属の市民保護局(DPC)[注3]が率いる「全国市民保護システム」でこの壁を突破した。

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