ゼロカーボンシティの実現に向けて次代を担う子どもたちにSDGs教育を[AD]

「ゼロカーボンシティ」宣言都市の苫小牧市は、ゼロカーボンを学べる出前講座など、市内小中学校で多様なSDGs教育を実践。自治体と連携した循環型社会モデルの実現とSDGs教育を推進する田中鉄工代表取締役CEOの村田満和氏が、苫小牧市長の金澤俊氏に、取り組みを聞いた。

ゼロカーボンへ関心を持つために
多様な啓発活動を展開、機運醸成へ

金澤 俊

苫小牧市長

村田 満和

田中鉄工株式会社 代表取締役CEO

村田 当社は、アスファルトプラントメーカーとして、カーボンニュートラルを経営戦略の起点としています。現在、アスファルト合材工場からは年間約140万トンのCO2が排出されています。そこで、工場で使用する重油の代わりに、非化石燃料である廃食油を活用することでCO2の排出量を削減し、2050年までに国内道路舗装業界のカーボンニュートラルの実現を目指しています。苫小牧市はゼロカーボンシティ宣言都市として、SDGs達成に向けてどのような取り組みを進めているのでしょうか。

金澤 北海道の道央南部に位置する苫小牧市は、樽前山やウトナイ湖を有するなど自然環境に恵まれたまちですが、海と空のダブルポートを擁する産業都市として発展してきました。近年、気候変動問題への関心が世界的に高まりを見せている中、当市では2010年から国内初となるCCS大規模実証実験に取り組み、2021年には持続可能な快適都市の実現と、豊かな自然と調和した環境を次世代の子どもたちに引き継いでいくためCO2の実質排出量ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」への挑戦を宣言しました。

ゼロカーボンシティの実現に向けては、市民一人ひとりがゼロカーボンに関心を持ってもらうことが大切だと考え、そのきっかけ作りのために様々な啓発事業を実施しています。2023年度から2か年に渡り「CO2CO2(コツコツ)いこう ♪ 次世代のために」をスローガンに「ゼロカーボン×ゼロごみ大作戦!」を展開し、まちぐるみで機運醸成を図っています。

市役所のCO2削減に向けては、市有施設10施設へのPPA方式による太陽光発電設備の導入や照明LED化更新を行っています。また、環境省の脱炭素先行地域に選定されており、ものづくり産業が集積する西部工業基地の立地企業において、大規模に太陽光発電を導入し最大限自家消費していただくとともに、余剰再エネ電力を隣接する市街地へ供給することで、産業部門のゼロカーボン化が民生部門へ波及する地産地消のPPAモデルを構築する取り組みを進めています。

村田 弊社でも、エネルギーの地産地消を推進する「Roa(d)cal SDGs Project(ロードカルSDGsプロジェクト)」を展開しています。このプロジェクトは、長崎県大村市や北海道小樽市と連携し、「地域で発生した廃食油を活用し、地域の誰もが利用する道路や歩道に還元する」という取り組みです。

ゼロカーボンを学べる出前講座や
「苫小牧市環境教育副読本」を発行

村田 市民の関心を高めることは重要なポイントです。弊社では子どもたちのSDGs教育の一環として、他の市で廃食油の利活用に関する出前授業を実施しています。またYouTube動画を制作し、校長会等に参加してSDGs授業での活用を提案するなど、地方自治体と共創してSDGs教育活動の支援にも取り組んでいます。苫小牧市ではどのような取り組みをされていますか。

金澤 ゼロカーボンシティの実現に向けては、次世代を担う子どもたちへの啓発が重要であると考えています。当市では、子どもたちが与えられたテーマについて学び、実現可能で斬新なアイディアを市長に提言する「未来創造こども会議」という事業を行っており、2023年度は大作戦事業の一環として、「こどもたちが考えるゼロカーボン」をテーマに開催され、その中での提案をもとに2024年度に市内全小中学校37校においてゼロカーボンについて学べる出前講座を実施しました。

ほかにも提案をもとに、家庭で簡単にできる取り組みを夏休み・冬休みにチャレンジする「CO2CO2(コツコツ)おうちで!ゼロカーボン!」や、各校が重点的にチャレンジする取り組みを宣言する「ゼロカーボンスクールチャレンジ宣言」といった事業も実施しています。これらにより、子どもたちへの意識付けは一定程度進んだものと考えており、子どもたち自身による学校や家庭での省エネ行動が親世代への理解や行動変容にもつながってくれることを期待しています。

村田 苫小牧市では、児童・生徒が環境問題に興味を持ち、社会の一員として自発的に行動する意欲を高めるために、小中学校向けの環境教育副読本を作成されていますが。

金澤 「苫小牧市環境教育副読本」は、リサイクルの啓発を目的に、1999年度に中学生向け、2009年度に小学生向けを発行しました。時代の変化とともに、現在は「ゼロカーボンとゼロごみのまち とまこまい」として、従来のごみの減量やリサイクルに加え、地球温暖化や自然環境に関することなど、幅広く網羅した内容とし、次世代市民への環境教育に取り組んでいます。具体的な活用方法ですが、対象学年である小学校4年生と中学校1年生の市内全児童・生徒に学校経由で配布しており、出前講座やごみ処理施設の見学に関する授業などで活用されています。

この4月には、ペーパーレスの取り組み等を踏まえ、紙媒体の発行を止め、デジタル副読本を発行する予定です。掲載内容のリニューアルに加え、動画やホームページとのリンク、写真のスライドなどの機能を搭載し、子どもたちの知的好奇心を高める充実した教材となる見込みです。

「ゼロカーボン」と「ゼロごみのまち」の実現に向けて、未来を担う次世代市民一人ひとりが、これからの時代に必要な考え方や取り組みを捉え、主体的に行動に移していくことが重要です。人材育成の視点からも、引き続き、環境教育の充実を図っていきたいと考えています。

よりよい環境と活力あふれるまち
を目指し「新人間環境都市」へ挑戦

村田 苫小牧市として、ゼロカーボンシティの実現に向けた今後の構想や展望についてお聞かせください。

金澤 半導体企業の立地や大規模データセンターの進出など明るい話題があり、当市を取り巻く環境は大きな転換期にあります。私自身がトップセールスをしている中で、企業が環境への配慮を強めており、クリーンエネルギーの調達のほか、ESG投資だけでなく原材料の調達でも環境配慮が求められていることを非常に強く感じているところです。

当市では、「のびゆく苫小牧!選ばれるまち苫小牧へ!」をスローガンに、よりよい環境と活力あふれるまちを目指し、「新人間環境都市」への挑戦をしていきたいと考えています。ゼロカーボンシティの実現に向けては、豊かな自然環境等と調和のとれた再生可能エネルギーの導入促進、先進的CCS推進による地元企業のゼロカーボンへの貢献、水素・アンモニアの国内への供給拠点の推進などに取り組んでいきます。

「Carbon dioxide Capture and Storage」の略で「二酸化炭素回収・貯留」技術を意味する。具体的には、工場や火力発電所から排出される二酸化炭素を、大気中に出す前に集め、地中深くに閉じ込める技術。
「Power Purchase Agreement(電力購入契約)」の略。
「CO2CO2(コツコツ)おうちで!ゼロカーボン!」で夏休みに取り組んだ結果、市内小・中学生の取り組みにより、66tのCO2が削減された。
「苫小牧市環境教育副読本」は下記URLで公開されている。
  https://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/kurashi/gomi/gominogenryo/kankyokyoikufukudokuhon.html

 

お問い合わせ先


田中鉄工株式会社
HP:http://www.tanaka-iron-works.com/
TEL:0942-92-3121

この記事に関するお問い合わせは以下のフォームより送信してください。