脳を育む大切な時期に AIが「思考力」を奪う可能性
2030年度から実施予定の学習指導要領の改訂に向けて、文部科学省では様々な議論が進められている。生成AIの教育現場における利活用も改訂における重要なポイントで、人工知能学会会長である慶應義塾大学の栗原聡教授は「小学校教育へのAI導入」に対して強い懸念を示す。
AIの小学校導入への懸念
脳を最も育む時期
栗原 聡
慶應義塾大学理工学部 教授、人工知能学会 会長
慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。博士(工学)。NTT基礎研究所、大阪大学、電気通信大学を経て、2018年より現職。科学技術振興機構(JST)さきがけ「社会変革基盤」領域統括。オムロンサイニックエックス社外取締役、総務省・情報通信法学研究会構成員など。マルチエージェント、複雑ネットワーク科学、計算社会科学などの研究に従事。慶應義塾大学共生知能創発社会研究センターセンター長を兼任。
── 学習指導要領が改訂される2030年度以降は小学校の教育にAIがさらに導入される予定です。
小学校教育への生成AI導入は懸念点しかないと言っていいでしょう。これまで人類はテクノロジーを使うことにより生活を豊かにし、文明も発達してきました。その一方で、車を使えば足腰が弱まるように、効率化により人間が楽をすることは「何かを失う」ことと同義でもあります。
小学校教育へのAI導入で特に懸念するポイントは、人間の思考力を低下させる可能性が大きい点です。AIはITの延長線上ではなく、人間の本丸とも言える「考えること」を代替できてしまいます。小中学生は脳を育てる大切な時期で、そのときにAIを使うと思考力が十分に育たない可能性があります。
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