地域の廃食油を地域の道路へ還元 ロードカルSDGsプロジェクト[AD]

道路舗装業界として初となる「廃食油の利活用による地産地消型のローカルSDGsモデル」。地域創生とカーボンニュートラルを両立する新たな社会モデルを提示している。旗振り役である田中鉄工代表取締役CEOの村田満和氏にプロジェクトや今後の展望について話を聞いた。

道路舗装業界の
カーボンニュートラルを牽引

村田 満和

村田 満和

田中鉄工株式会社 代表取締役CEO
1966年山口県生まれ。九州大学工学部建築学科卒業後、リクルート入社。2018年営業管理部長として田中鉄工入社。2022年に専務取締役となり、2023年に代表取締役CEOに就任。経営戦略の起点をカーボンニュートラルに定め、2024年10月からはGX戦略の推進を加速するために、サステナブル戦略室室長を兼任している。

田中鉄工は、1918年創業の佐賀県に本社を置き、全国13か所の営業所を展開している道路舗装用アスファルトプラントメーカーだ。1952年からアスファルトプラント主体の建設機械分野へ進出し、現在はアスファルト合材生産関連の製品・サービスの提供を中核事業とする。そうした中、代表取締役CEOの村田満和氏は、カーボンニュートラルを経営戦略の起点とし、2050年を見据える。

「当社がカーボンニュートラルを実現することで、業界全体のCO2排出量削減に貢献すると同時に、自社の競争優位性を確立できると考えています。全国約1,000のアスファルト合材工場から排出される年間約140万トン(国内の道路舗装過程におけるCO2排出内訳42%を占める)のCO2を2030年までに半減、2050年にゼロを目指しています。この取り組みは環境対応にとどまらず、GXを通じた新たな企業価値(財務・ESG・インパクト)の創出と、業界全体の持続可能性を実現するための使命と捉えています」

そこで、同社が新たな燃料として注目したのが使用済み食用油、いわゆる「廃食油(UCO)」だ。

「アスファルト合材の製造に使用される燃料の大部分は重油が占めますが、これを非化石燃料に転換することで、CO2排出量を大幅に削減できます。それを踏まえた当社のエネルギートランジション戦略は、中長期では水素や合成メタン・アンモニアなど、短中期ではバイオマス燃料で、特に未利用だった家庭用廃食油に注目しています」

家庭系廃食油は国内で年間約10万トン発生するが、リサイクル率はわずか約4%で、大半が廃棄されている。一方で、廃食油は重油と混焼しても分離せず、SOx(硫黄酸化物)やNOx(窒素酸化物)等の大気汚染物質の削減にも貢献するカーボンニュートラルエネルギーであることが判明した。この発見を受け、家庭系廃食油を基盤としたUCO事業モデルを構想。その過程で全国油脂事業協同組合連合会(UCO JAPAN)と本格的な包括連携を開始した。

廃食油を利活用した
地産地消型のローカルSDGs

同社は共創パートナーとの連携とトレーサビリティシステムの構築を基盤に「Roa(d)cal SDGs Project(ロードカルSDGsプロジェクト)※1」を推進。同プロジェクトは、地域で発生した廃食油を地域の道路整備に還元することで、地域とともに循環型社会に貢献し、地産地消型ローカルSDGsの実現を目指すものだ。

推進にあたり、その地域の道路舗装会社や油脂会社、小売店・生協、自治体等を巻き込んだグリーンサプライチェーンを形成。廃食油の利活用を事業モデルとして提示することで、行政からの広報・後方支援を得やすい環境を整えた。そして2024年4月、長崎県大村市が初の連携自治体となった。

市内に設置された廃食油回収BOX。

「地域のスーパーに廃食油回収ラックを設置し、地域で回収した廃食油を地域の油脂会社でリサイクル後、プラントでアスファルト合材製造時の燃料として活用し、地域の道路に還元する仕組みを構築しました。大村市が『ゼロカーボンシティ宣言』をしていた点も、プロジェクトを推進する後押しとなりました」

同年10月には北海道小樽市でプロジェクトが始動。小樽アスコン共同企業体が廃食油燃料を活用した合材の使用を始めたことを機に、市役所や小売店など市内12拠点で、家庭系廃食油の回収をスタート。その結果、年間約5,100L(500mlのペットボトル10,200本分)がリサイクルされ、小樽市の道路舗装の建材燃料として地域に還元されている。

子ども達の意識・行動変容を促す
SDGs教育を様々な地域に展開

小樽市のプロジェクトでは家庭系廃食油のリサイクル推進に向けたSDGs教育を組み込み、市内小学校で出前授業を実施した。

廃食油のリサイクル推進に向けて小樽市内の小学校で実施したSDGs教育の様子。

「シロクマに扮した講師が、廃食油のリサイクルをテーマに授業を行いました。今の子ども達が大人になった時、廃食油をそのまま捨てるのではなくてリサイクルができる。授業は、そうした意識や行動変容のきっかけになることを重視しました」

実際、授業後の生徒の感想文には、「廃食油が道路や石鹸になると知って面白かった」「使った油をスーパーに持って行き、環境改善に貢献したい」といった声が寄せられた。

同社では、以前から学校などに対してSDGs教育の提案活動を行ってきたが、今回のプロジェクトを機に、GXを進める上で教育分野の重要性を再認識し、本格的な投資を進めていく考えだ。今後はプロジェクトにかかわらず、様々な地域でSDGs教育を実施できるよう、教材モデルの開発を進めている。

「例えば、『SDGs未来会議チャンネル』の動画※2を視聴した後、ディスカッションをして、発表するという45分授業を構想しています。総合的な学習の時間などに活用していただくことで、ペットボトルの分別が習慣化する等、子ども達の意識や行動を変え、廃食油の循環利用をより当たり前のものにしていきたいですね」

また、小樽市の基幹産業である観光に着目。小樽観光協会と連携し、環境に配慮した観光都市の確立とサステナブルツーリズムの実現も目指している。

「子ども達のシビックプライドの醸成もプロジェクトの目的の一つです。幼い頃から地域や環境への関心を育むことで、地元への愛着や地域課題への意識が高まり、就職や地域貢献につながる可能性があります。小樽市の取り組みは、環境を観光や地域振興と結びつけ、地域全体の価値向上を目指す狙いもあります」

今後の展望として、SDGs教育を組み込んだ小樽モデルを他地域に展開しつつ、事業の柱となるよう教育分野にも注力していく。

「教育は地域を超えた重要な課題です。小中学校段階からSDGs教育を受けられる仕組みを整えることが、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブの基盤になると確信しています」

※1プロジェクト名は地域を限定せず全国に広げていきたいという想いから、「道路」を通じて繋がり、広がることをイメージし「road(道)」と「local(地域)」をかけた造語とした。
※2「SDGsに取り組む企業へ取材にいこう!田中鉄工 篇 (Sponsored by 田中鉄工)」SDGs未来会議チャンネル【SDGs MIRAI KAIGI Official】 https://www.youtube.com/watch?v=BKPK0J5mfWg

 

お問い合わせ先


田中鉄工株式会社
HP:http://www.tanaka-iron-works.com/
TEL:0942-92-3121

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