活躍が期待される「社会教育士」 学びを地域に広げる

多様な分野において
学習活動を支援する専門人材

昨今、地域ではつながりの希薄化、空き店舗の増加、子育てや介護による孤立、居場所の無い子ども・若者、国籍の違いや障害の有無などによる分断など、さまざまな課題が起きている。こうした課題を解決するためには、一人ひとりが当事者意識を持って、地域に関わっていくことが求められる。しかし多くの人にとって、地域活動や市民活動への参画は身近なことではないのが現状だ。

文部科学省が令和2年度(2020年度)から制度をスタートした「社会教育士」は、自分たちの暮らす地域を面白くしたい、新たな人ともっと出会いたい、多様な人ともっとつながりながら活動したい、という前向きな気持ちになれるきっかけとしての「学び」の機会を、社会のいたるところに仕掛け、豊かな地域づくりへの展開を支援する専門人材だ。

社会教育士に期待される専門性

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もともと「社会教育主事」という、社会教育を行う人に対する助言・指導を担当する専門的教育職員の制度があり、社会教育法に基づいて教育委員会に必ず置くこととされている。社会教育士制度は、この社会教育主事になるために修得すべき科目等を定めた社会教育主事講習等規程の一部改正によってできた制度だ。

社会教育士の称号は、文部科学大臣の委嘱を受けた大学・大学院等の教育機関が実施する講習や大学での養成課程を修了した人に与えられる。講習や養成課程は、社会教育の制度や基礎的な知識に加え、上記の図の専門性の習得を狙いとしている。

社会教育士は、講習や大学の養成課程で習得したコーディネート能力、ファシリテーション能力、プレゼンテーション能力等を活かし、福祉や防災、観光、まちづくり等の多様な分野における学習活動の支援を通じて、人づくりや地域づくりに中核的な役割を担う。自治体やNPO、企業、学校などのほか、地域活動やボランティア活動などにおいても、今後、社会教育士が活躍することが期待されている。

<参考文献>
文部科学省・報道発表資料