社会構想大学院大学、2024年4に「社会構想研究科」を設置

グランドデザインを
描くことのできる人材を養成

日本で唯一、複数の研究科を有する独立系の専門職大学院である社会構想大学院大学に、2024年4月、さらに新たな研究科が設置される。社会の理想像(グランドデザイン)を描き、それを政治や行政、あるいは事業を通じて実現する能力を備えた高度専門職業人の養成を目指す「社会構想研究科」だ。

同研究科は社会構想大学院大学の3番目の研究科になるが、その名に学校名を冠しているように、社会構想大学院大学の理念を体現した研究科となる。社会構想大学院大学は「グランドデザインを通じたよりよい組織や社会の実現」を使命に教育研究活動を行ってきた。具体的には、コミュニケーションデザイン研究科において「組織の理念を社会に伝達できるプロフェッショナル」を育成し、実務教育研究科において「実務上の専門的能力を形式知化し伝達できるプロフェッショナル」を養成してきた。

しかし、VUCAと形容されるように不確かな社会にあっては、既存のグランドデザインを伝達できる人材に加えて、そもそもグランドデザインそれ自体を練り上げることができる人材が求められている。また、専門的能力を伝達できる人材に加えて、そもそもそうした能力が依って立つ社会は、どうあるべきかを構想できる人材が求められている。そして、そのようなグランドデザインを通じて社会の矛盾や課題を解決し、社会善を実現できるプロフェッショナルを養成することが急務だ。このような考えから、社会構想研究科は設置される。

昨今、社会全体の持続可能性が危ぶまれている中で、一般企業やNPO・NGO、さらには市民もまた、公共的・公益的な活動の担い手となることが求められている。特に社会起業は、経済活動と社会貢献の好循環により、社会課題の解決に持続可能な形で取り組めるという意味で、政治や行政と並ぶ重要性を帯びている。

そこで社会構想研究科は、政治家、行政職員、社会起業家、およびそれらを志望する人などを対象に、社会課題を見出し、そこから社会の理想像を構築し、その実現に向けた具体的なプランを策定・実装するための理論と方法を教育する。

社会人を対象としているため、授業は平日夜間と土曜日に対面とオンラインを組み合わせたハイフレックス形式にて行われる。学生は2年間の研究の集大成として、みずから選んだ特定の社会課題の解決策と実現計画を、学術論文形式の「社会構想報告書」(専門職学位論文)にまとめる。MBA や公共政策大学院が経営や政策の個別具体的な知識や技能に重きを置いているのに対して、「社会の理想像の構築」を重視していることが、社会構想研究科の特徴だ。