大規模調査からみる学校現場の今 自腹からの解放への道筋とは?

学校の働き方改革から教職員の労働時間に注目が集まる一方で、経済的負荷への注目はあまり集まっていない。5月に著書『教師の自腹』を上梓した千葉工業大学の福嶋尚子准教授に大規模調査結果から見える教職員の自腹の実態などについて話を聞いた。

全国小中学校の教職員を対象に
大規模な自腹の実態を調査

福嶋 尚子

福嶋 尚子

千葉工業大学 准教授
新潟大学大学院教育学研究科修士課程を経て、2011年東京大学大学院教育学研究科の博士課程に進学。2015年度から千葉工業大学にて教職課程に助教として勤務し、2021年より准教授(現職)として教育行政学を担当。日本教育事務学会、日本教育政策学会で常任理事も務める。主な著書に『隠れ教育費:公立小中学校でかかるお金を徹底検証』(太郎次郎社エディタス。栁澤靖明と共著)、『教師の自腹』(東洋館出版社、共著)などがある。

── 公立小中学校の教職員を対象に「教職員の自己負担額に関する調査(2022年度間)」(以下、「調査」)を実施され、その結果を著書『教師の自腹』で紹介しています。調査を行った背景をお聞かせください。

福嶋 私自身、これまで保護者の費用負担に焦点を当て、2019年の著書『隠れ教育費』をはじめ、学校給食費の無償化など情報発信をしてきました。一方で、保護者だけでなく、先生も相当な自己負担をして公立学校が成り立っている状況があります。

先生の労働負担については、働き方改革などを通じて、報道などでよく目にすることはありますが、経済的負担は明らかになっていないと感じました。この問題にフォーカスすることで、学校現場における保護者の費用負担を解決し、公費で成り立つ公立学校を実現する、その気運の醸成にもつながる。そう考えて、調査を実施しました。

(※全文:3948文字 画像:あり)

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