私塾は総合型選抜にどう対応すべきか カリキュラムのポイント[AD]

9月25日、塾・自分構想主催の「総合型選抜対応カリキュラムのポイント解説セミナー」が行われた。私塾の経営者やカリキュラム作成担当者を対象に実施された、廣政愁一氏による講演のダイジェスト版をお届けする。

総合型選抜では学力だけでなく、どんなことに興味・関心を持って取り組んできたのかという「実績」や、志望動機や将来の構想といった個人の「理念」が評価対象となる。これは大学受験というよりは就職活動に近いものであり、大学合格をゴールとする旧来型の思考から、大学受験を「キャリアデザイン」の一環と捉えるパラダイムシフトが起こっていると言える。

そこで、総合型選抜に対応したカリキュラムを設計するにあたっては、高校生といえども「成人教育学」のエッセンスを取り入れると良い。成人教育学(アンドラゴジー)は、大人の学びは学校やカリキュラムという枠組みのある子どもの学び(ペタゴジー)とは違う、という前提で作られた新しい教育学だ。成人教育学と子どもの教育学の最も大きな違いは、自分で学ぶことを決めているか否かにある。子どもの教育学は、教師から与えられたものを飲み込んでいく「ペット型」の教育である一方、成人教育学は学ぶものを自分で選び取る「野生型」の教育だと言える。つまり成人教育学のエッセンスは、自分で学ぶことを決める「自己決定学習」であり、総合型選抜のカリキュラムに自己決定を担保する仕組みを取り入れることが肝要となる。

ただし、成人教育学にも落とし穴がある。ペット型の教育に慣れ親しんだ学習者は、受動的な学習スタイルになりがちで自己決定ができないこと、過去の経験や価値観に縛られて成長が硬直化すること、眼の前の課題解決を優先するあまり対症療法となり、未知の問題に直面したときに対処できなくなることなどが挙げられる。これら成人教育学の急所を克服するための学習プログラムの設計が、総合型選抜対策の急所となる。

総合型選抜の対策を専門とする塾・自分構想のカリキュラムでは、未知の事柄に取り組み興味分野を発見させ、自主研究に進ませる探究活動を通して、自走度を上げながら自己決定を促している。また越境学習として、さまざまな職種・役職の社会人との対話の機会を設け、価値観の創造的破壊と整理・再構築を行っている。さらに、大学合格という目の前のゴールに捉われず、キャリアデザインの一環として学びに意味を持たせることで、就職活動や大学院入試などのライフイベントや、社会で自らのキャリアを築くことにも有効に働くように設計している。

カリキュラムをもとにした教育は、とかくそのカリキュラムをこなして終わらせようとする履修主義に陥りがちだ。しかし、総合型選抜対策ひいてはキャリアデザインにおいては、カリキュラムの過程での「気づき」が重要になる。そうした気づきを通して、生徒が変化し成長する。それは大学受験のみならず、将来の財産となるだろう。

総合型選抜対策パッケージ