独自プログラム「EGAKU®」鑑賞、創作、共有・対話で鍛える非認知能力

「絵」を鑑賞し創作するアートの実践を通して創造性を開発するプログラム「EGAKU®」。大手企業を中心に220社以上、延べ2万8000人以上が受講してきた。ビジネスシーンに生じる様々な課題に効果を発揮するプログラムの真価とは―。

世界を飲み込んだコロナ禍、各地の紛争に資源の争奪戦、サプライチェーンの複雑化、人工知能(AI)台頭と情報戦……。グローバル化の大波が人々の価値観やビジネスの在り方を根底から揺るがせ、先行きの見えない不信や不安を生んでいる。この変節期にこそ注目したいのがアートだ。未来を照らす希望の光があるとすれば、その光源は今までと違う場所にあるとの考えのもと、本連載では教養や趣味に位置づけられていた絵画や彫刻、音楽、演劇などのアートを広い意味で捉え、その力をビジネスに生かすヒントを紹介していく。

重要なのは絵心ではなく
内なる価値観と向き合うこと

長谷部 貴美

株式会社ホワイトシップ 代表取締役/
共同創業者 長谷部貴美氏

 

林 愛子

林 愛子

株式会社サイエンスデザイン代表取締役
東京理科大学理学部卒、事業構想大学院大学修了(事業構想修士)。科学技術ジャーナリストとしてモビリティや製造業に関係する情報発信のほか、大学や企業のコミュニケーション媒体の企画・制作を手掛ける。

2001年創業のホワイトシップが提供する創造性開発プログラム「EGAKU®」は、3つのステップで構成される。

まずは「アート鑑賞対話」。受講生一同で1枚の絵を鑑賞し、それぞれが感じたことを話す。視覚に紐づく感覚を自分の言葉に置き換え、他者の感想や思いを聞くことで、自分一人では気づきにくいバイヤスへの感度を高めていく。続く「創作体験」では、「自分と突き動かすもの」「創りたい未来」などのテーマに基づき、色紙にパステルで絵を描く。表現技巧についての指導は一切ない。大切なことは自分の思いや価値観などを内省するプロセス。絵を描き終えたら、そこに込めた思いを言語で書き記す。最後が「グループ共有・対話」。お互いの絵を鑑賞し、対話を重ねる。絵を通して相手の思いに触れ、自分の絵に対する感想に耳を傾けることで、多様な視点への理解を深めていく。

以上3つのステップに要する時間は3時間半で、個人向けでも法人向けでも基本の構成は変わらない。昨今は教育機関からの依頼も多く、小学生から大学生まで発達の段階に応じたプログラムを提供している。

(※全文:2228文字 画像:あり)

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