離島の小規模高校でも多様な科目選択を可能に

鹿児島県では、2024年度のトライアル配信を経て、25年4月から離島の小規模高校に向けた「遠隔授業推進事業」を実施。文部科学省の事業にも採択されている。ICTを活用して小規模校でも生徒の習熟度に合わせた学習や多様な科目選択を可能にし、学習機会の充実を目指している。

遠隔授業配信センターから
離島の小規模校に遠隔授業を実施

少子化により高校の統廃合や小規模化が進み、生徒の進路希望に応じた科目開設などが困難な高校も少なくない中で、地理的状況や学校のリソースにかかわらず、どの高校でも多様な学習ニーズに対応し、柔軟で質の高い学びの実現が求められている。

2025年2月、中央教育審議会の「高等学校教育の在り方ワーキンググループ」は審議まとめを公表。そこでは少子化が加速する地域の高校教育の在り方として、教科・科目充実型の遠隔授業の活用や配信センターの体制・環境整備、学校間連携の促進などを挙げている。

こうした中、文部科学省は24年度から「各学校・課程・学科の垣根を超える高等学校改革推進事業(学びの機会の充実ネットワークの構築)」を展開。鹿児島県教育委員会は同事業の採択機関の一つだ。

これを受けて鹿児島県は24年度、遠隔授業「かごしまOnline-Campusプロジェクト」を実施。夏休みと冬休み期間中に、県総合教育センター内の現在の遠隔授業配信センターとなる部屋からトライアル配信を行った。対象は離島の1学年2学級の小規模校で、大島北・古仁屋・喜界・与論の4高校に向けて配信。公民・数学・物理・英語・情報で計146の授業を課外授業として行い、92人の生徒が受講した。

同センターから授業を配信している様子。

「夏休みのトライアル配信では、ハード面でしっかり機能するか点検したほか、使用するアプリケーションが実用に足るかどうかを確認しました。冬休みの期間は、ペーパーテストを実施する場合、どのように評価するかといった点を検証しました」

(※全文:2167文字 画像:あり)

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