ときにはAI翻訳の“下方修正”も 個別最適で使いこなせる英語に

立命館大学は、「ChatGPT」と機械翻訳を組み合わせた英語学習ツール「Transable」を、2023 年春学期より試験導入している。学生の成績やモチベーションにどのような変化が生じるかを検証し、英語教育の改革に生かそうとしている。授業を担当する山中司教授に話を聞いた。

英語教育のDXを目指し
いちはやく機械翻訳を導入

山中 司

山中 司

立命館大学 生命科学部 教授
慶應義塾大学 政策・メディア研究科 政策・メディア博士課程修了。博士(政策・メディア)。立命館大学 生命科学部 准教授を経て現職。専門は応用言語学、言語哲学(プラグマティズム)、言語コミュニケーション論。研究テーマは「プロジェクトの手法を用いた大学英語教育の有効性とその評価に関する研究」。主な著書に『プラグマティズム言語学序説:意味の構築とその発生』(共著、ひつじ書房)、『プロジェクト発信型英語プログラム:自分軸を鍛える「教えない」教育』(共著、北大路書房)など。

国内でChatGPTに代表される生成AIの利用が急拡大する中、文部科学省は7月13日、「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて(周知)」を公表。同文書は、生成AIに関して利活用が想定される場面例や留意すべき観点等をとりまとめ、各教育機関が主体的に対応することが重要だと述べた。

生成AIの使用について消極的な姿勢を示した大学がある一方、積極的に活用を進めているのが立命館大学だ。もともと2018年に発表した中期計画「学園ビジョンR2030」の中でテクノロジーを生かした教育・研究の進化を掲げ、体現策のひとつとして生命科学部・薬学部の学部横断事業「プロジェクト発信型英語プログラム」(PEP)を展開。約5000人の学部生・大学院生を対象に、AI自動翻訳サービス「Mirai Translator」の試験導入を実施してきた。

「『ChatGPTの使用を許したら、学生が勉強しなくなるのでは?』と懸念の声もありますが、…

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