教師の意見をエビデンスに拡張し、教育政策への積極的な活用を

教育政策の意思決定にエビデンスを重視する機運が高まる中、2023年に上梓した『教育政策をめぐるエビデンス』で「なぜエビデンスに基づいた教育政策の議論は困難なのか?」を検証した桃山学院大学准教授の中西啓喜氏に、教育政策におけるエビデンスの利用について話を伺った。

「有無」ではなく「高低」
エビデンスの定義を考える

中西 啓喜

中西 啓喜

桃山学院大学 社会学部 准教授
1983年三重県生まれ。2013年青山学院大学大学院教育人間科学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。専門分野は教育社会学。研究テーマは学力格差、教育政策など。主な著書に『学力格差拡大の社会学的研究――小中学生への追跡的学力調査結果が示すもの』(東信堂、2017年)、『教育政策をめぐるエビデンス: 学力格差・学級規模・教師多忙とデータサイエンス』(勁草書房、2023年)。

── EBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)など、教育政策においてエビデンスを重視する機運が高まっています。

中西 教育政策を議論する上で、個人の勘や偏ったエピソードをつなぎ合わせるよりも、量的なエビデンスを踏まえることが必要なのは間違いありません。ただ、教育という営みは規範や道徳を前提としています。特に学校教育は、あらゆる意味で未確定な子どもを変容させるための介入を目的としているので、政策の議論もまた規範を踏まえる必要があります。なので、最終的に「こうありたい」という社会状態を想定して、そこから逆算して政策を設計し、エビデンスを検証することが重要です。

(※全文:2490文字 画像:あり)

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