教職ルートの国際比較で見る 日本の教師教育の在り方

中央教育審議会は「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成」に向けて社会人の教職ルートに関する議論を進めている。2024年3月『多様な教職ルートの国際比較』を上梓した福岡大学教授の佐藤仁氏に各国の教職ルートや日本の教職ルートの在り方について話を聞いた。

教職ルート多様化の背景にある
質と量の教員不足の問題

佐藤 仁

佐藤 仁

福岡大学 人文学部 教育・臨床心理学科 教授
博士(教育学)。主な研究分野は比較教育学、教師教育、米国の教育。広島大学大学院教育学研究科助手、九州大学大学評価情報室助教などを経て2020年10月から現職。2025年4月から放送大学客員教授。日本比較教育学会常任理事。日本教師教育学会理事、日本教育制度学会理事。近著に『多様な教職ルートの国際比較:教員不足問題を交えて』(日本教師教育学会 第11期課題研究Ⅲ部編、佐藤仁編著)学術研究出版社がある。

── 中央教育審議会は「多様な専門性や背景を有する社会人等が教職に参入しやすくなるような制度の在り方」の議論を進めています。多様な教職ルートが各国にある背景について、お聞かせください。

佐藤 世界各国で共通する背景は教員不足です。日本は近年になって特に表面化してきた問題ですが、諸外国では常に教育課題とされてきました。各国で議論されている教員不足の背景は2つの側面があります。

一つは、量的な教員不足です。本来必要としている教員数に対して、数が足りない。空いているポジションに人が埋まらない。量的な教員不足に対応するために多様な教職ルートが整備されてきたというのが、まず大前提の背景にあります。

もう一つは、質的な教員不足です。例えば、特定の専門分野の先生が足りない。数学・理科や特別支援教育の領域は、多くの国で教員が足りない状況です。欧州では移民や難民の子どもが増えてきているので、そういった子どもたちに対応できる教員も不足しています。

私の研究対象である米国では、教員の量的不足に加え、児童生徒と教員の人種構成がアンバランスな状態が大きな課題だと認識されています。例えば、黒人の児童生徒が多い学校だけれども教員は白人が多い。そうした質的な側面の不足も多様な教職ルートを考える上で大事な論点かと思います。

(※全文:2706文字 画像:あり)

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