脳の多様性・変化し続ける脳 「ニューロダイバーシティ」とは何か?

脳や神経の多様性を意味する「ニューロダイバーシティ」。すべての人の脳は異なっており、その多様性を認め合うことの重要性が指摘されている。すべての人が脳の多様性をもち、脳が絶えず変化していることへの理解は、自己や他者の理解につながる。

脳や神経の多様性を意味する
ニューロダイバーシティ

金子(大谷) 律子

金子(大谷) 律子

東洋大学生命科学部生命科学科 教授
医学博士、理学修士、臨床心理学修士。専門は神経生物学、内分泌学、神経内分泌学。 東京大学理学部生物学科動物学教室卒業、山形大学医学部助手(現在の助教)、カナダ・アルバータ大学医学部生理学教室研究員、聖マリアンナ医科大学助教授(現在の准教授)を経て、現職。マウスを用いた自閉症の発症メカニズムの解明、魚を用いた脳の性転換メカニズムの解明、自閉症患者の感覚の多様性や性差など、脳の多様性や変化について分子レベル・細胞レベルから個体の感覚・行動レベルまで広く研究している。

ニューロダイバーシティ(neurodiversity)は、脳や神経を意味する『ニューロ(neuro-)』と多様性を表す『ダイバーシティ(diversity)』が組み合わさってできた言葉だ。日本語では一般に、「脳の多様性」と訳される。

「ニューロダイバーシティは元々、自閉症スペクトラム障害(ASD)をもつ女性が書いた文章の中で使われた造語です。そのためASDの当事者の方たちが自らの状況を表す際にこの言葉が用いられてきました。しかし近年は、『脳の多様性』を認め合うという文脈で『ニューロダイバーシティ』が使われることが増えています」

東洋大学生命科学部教授の金子律子氏は、こう解説する。

(※全文:2286文字 画像:あり)

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