ソフトウェア・コンテンツを充実し高等学校で効果的なICT活用を[AD]

小・中学校では1人1台の端末が配備される中、高校での端末整備が課題となっている。また端末の効果的な活用にはソフトウェアやコンテンツの充実が欠かせない。神奈川県教育委員会とメーカーのカシオ計算機の立場から見た現状と課題について、両者の解説と意見交換の模様を紹介する。

高校の授業で求められる
「探究」と1人1台端末

左/橋本雅史 神奈川県教育委員会 教育局指導部 高校教育課 指導主事
中央/上嶋 宏 カシオ計算機株式会社 教育BU 関数戦略部 ICTビジネス開発室 室長
右/渡邊信彦 事業構想大学院大学 教授

神奈川県教育委員会は教育の情報化を通じ、「情報教育」「教科指導におけるICT活用」「校務の情報化」という3つの側面から教育の質向上を目指している。

「県内ではGIGAスクール構想開始以前は、県・市町村とも端末整備率で苦労しており、文部科学省の調査では毎年、全国で最下位争いをしている状態でした」。神奈川県教育委員会教育局指導部高校教育課の指導主事で、情報教育などを担当する橋本雅史氏は振り返る。

一方で、近年は学習者用PCを増やすことに加え、超高速インターネット回線や、全校の普通教室における無線LAN整備を目指してきた。さらにクラウドサービスの積極的な活用やICTを文房具のように簡単に使える環境の整備も目標にしてきた。

学習者用PCでは2019年8月、従来のものより低価格なChrome book1万1726台をすべての県立高校に配備。高等学校の新学習指導要領がスタートする2022年度までに、3クラスに1クラス分の配備を目指してきた。「高校の端末はこれまでに1校当たり82台となり、40人クラスなら生徒1人と教師が1台ずつ、2クラスで同時に使える状態になりました(2019年時点)」(橋本氏)。

神奈川県内の生徒のスマートフォン所有率は高く、授業では生徒が使い慣れた端末であるスマートフォンも活用し、スマートフォンがない生徒にはタブレットPCを貸与している。他方で、スマートフォンではなくPCが必要となる学習もある。

例えば、地歴公民科で今後求められる「地理情報システム(GIS)の活用」では、1人1台のPCがあればデータや地域、重ねるレイヤーを変えるなど自分なりの考察もできる。

「課題設定、情報収集はスマートフォンでもできますが、情報を整理し、統計的な分析や思考などはPCを用いてじっくり考えることが必要です。そのような学習を日常的に行う動きが高校で増えれば、1人1台端末の必然性はより高まるでしょう」(橋本氏)

簡単で効率よく効果的な
授業ができるClassPad.net

小・中学校に加え、高校でも1人1台端末が求められる時代となる中、学習におけるICTの効果的な活用も課題となっている。

「ICTの利用に関し、先生方は多くの悩みをお持ちだと思います。そこで私たちは、先生と生徒の双方が『簡単で効率よく効果的な授業ができる』ことを目指すクラウド型アプリ『ClassPad.net』を開発しました」

カシオ計算機教育BU 関数戦略部 ICTビジネス開発室室長の上嶋宏氏は言う。G-SHOCKなどの時計で知られるカシオ計算機は、世界100ヵ国以上に教育ツールを提供する教育企業でもある。教育事業の代表的な2つの商品は、関数電卓と電子辞書だ。

「教育向けツールは、現場の皆様との対話を通じて開発します。毎年、世界の教育関係者を集めてグローバルティーチャーズミーティングを開催しているほか、世界各国に教育の専門家を配置し、教育機関と協力体制を構築しています」(上嶋氏)

新たに開発したClassPad.netには、①電子辞書、②デジタルノート、③数学ツール、④授業支援という4つの機能がある。①の電子辞書機能では、カシオの電子辞書の機能をクラウドで提供している。②のデジタルノート機能は情報をまとめるだけでなく、先生の板書のツールとしても使える。③の数学ツールは、数式のグラフ化や統計の計算、作図など高度な機能を備えている(図参照)。④は課題の送受信機能で、先生と生徒のコミュニケーションが容易にできる。ノートアプリや辞書アプリなどが1つのツールでシームレスに使えることで、先生・生徒は複数のツールを使い分ける必要がなくなり、学びを途切れさせず1つのツールで学習を完結させることを狙っている。

図 ClassPad.netの数学学習アプリケーション

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「辞書機能などで情報収集し、デジタルノートで考えをまとめ、さらに数学ツールでデータを分析し、それを提出する、といった授業を手軽に実現するのがClassPad.netです。現在、無料で試せるベータ版の申し込みを募集しており、ぜひお試しいただきたいです」(上嶋氏)

ハード面の整備後に続いて
ソフトウェア・コンテンツの充実を

両氏の発表後は事業構想大学院大学教授の渡邊信彦氏をファシリテーターとして、教育現場におけるICT活用の実際や課題等をテーマに、両氏の意見交換が行われた。まず、様々なコンテンツがクラウド上で展開される中、学校での利用に関して橋本氏が課題を挙げた。

「例えば、サービスごとに異なるID・パスワードが必要になると、生徒や先生がそれを忘れてしまうことも増えます。ですから、サービスをご紹介いただく企業の方には、どこかのアカウントとシングルサインオンで連携できないかとお願いしています」(橋本氏)

上嶋氏は、今年10月に経団連が公表した「GIGAスクール構想の確実な実施に向けた緊急提言」において、最も緊急性の高い4つの施策の1つとして「ソフトウェア・コンテンツの充実」が挙げられたことを触れ、「数年前はアプリの話をする雰囲気はありませんでしたが、ようやく出てきました。確実に学校教育のICT化は前進しています」と話した。

意見交換の最後に橋本氏は、「何のためにICTを活用するのか。そこを間違えないように、どの様なツールが本当に学校現場に必要なのか。メーカーの方々にもご提案してもらい、予算を取って導入を進めていく。あわせて先生方にも、しっかり活用していただくよう働きかけていく。そうしたタッグが今後必要になってくると思います」と語った。

上嶋氏は、「授業におけるICTの活用は、一歩踏み出せば、意外とすんなり使えるはずです。ですから、気になったツールは、まずは試していただきたいですね」と述べた。

渡邊氏は「教育委員会の方とメーカーの方が同じ場で、現状の課題を話す機会はあまりなかったのではないか。今回のような場は非常に良い機会だと思います」と締めくくった。

【お問い合わせ】

カシオ計算機株式会社
E-mail:classpad-japan@casio.co.jp
ベータ版(無料)のお申込みはこちら
URL:https://casio.link/2ZaaO76

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