多様性ある教員集団に向けて 社会人から教員になる仕組み

教員不足が深刻化し、社会が求める教育ニーズが多様化する中、多様な専門性を有する教員集団の形成が急務となっている。本稿では、教員資格認定試験制度、特別免許状制度を中心に、社会人から学校教員への道を開く現状の制度について整理をした。

社会人から教員への道を開く
教育資格認定試験制度

学校の教員になるためには、大学・短大に設置された教職課程において所定の単位を取得・卒業し、教員免許状を取得する必要がある。このため、日本では「大学等」が教員になるための基本的なルートとなる。

一方、文部科学省は大学等で教職課程を取らなかった者にも教員になるルートを整備してきた。

その一つが「教員資格認定試験」だ。同認定試験の実施に関する事務を行う独立行政法人教職員支援機構のウェブサイトでは「教員資格認定試験は、広く一般社会に人材を求め、教員の確保を図るため、大学等における通常の教員養成のコースを歩んできたか否かを問わず、教員として必要な資質、能力を有すると認められた者に教員への道を開くために文部科学省が開催している試験」と紹介している。

教員資格認定試験は「幼稚園教員資格認定試験」、「小学校教員資格認定試験」、「高等学校(情報)教員資格認定試験」があり、それぞれ「幼稚園教諭二種免許状」、「小学校教諭二種免許状」、「高等学校教諭一種免許状(情報)」を取得することができる(各認定試験の受験資格(抄)は図表1の通り)。

この内、小学校教員資格認定試験制度は1973年の制度開始当初は6,000人だった受験者数が2019年度は780人まで減少した。文科省も社会人経験のある教員の必要性の高まりを踏まえ、社会人から教員への門戸をより開いた制度として、社会人が受けやすくなるよう、2020年度に認定試験制度の見直しを行っているが受験者数の大幅な増加には至っていないのが現状だ(図表1)。

図表1 教員資格認定試験の概要

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(※全文:1571文字 画像:あり)

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