小中学校・高校・地域をつなぎ 進路選択や継続的な学びを支える

日本に暮らす外国人の増加に伴い、日本語指導が必要な子どもたちへの教育支援が喫緊の課題となっている。認定NPO法人ME-netはこうした状況の中、約30年にわたり多文化共生教育をサポートしてきた。2025年7月に新理事長に就任した大谷千晴氏に活動の詳細と今後の展望を聞く。

日本語指導が必要な児童生徒
が全国2番目に多い神奈川県

大谷 千晴

大谷 千晴

認定NPO法人 多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net) 理事長
1992年より神奈川県平塚市の中学校で教員を務め、外国につながる生徒と向き合う中で多文化教育に関心を深める。2022年に採用試験を経て県立定時制高校に異動。その傍、ME-netの「高校進学ガイダンス」をはじめとする学習支援・研修事業に関わり、外国人学齢相当児童生徒の教育機会拡充に尽力してきた。2025年7月、同団体の理事長に就任。多文化共生社会の実現をライフワークとし、活動を続けている。共著に『まんが クラスメイトは外国人』(明石書店)がある。

文部科学省の資料によると、公立学校における日本語指導が必要な児童生徒数について、都道府県別では神奈川県は8,589人で愛知県(13,984人)に次いで、全国で2番目に多い都道府県となっている(人数は小中高等学校等の合計)。

認定NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net)は、1990年代初頭、県立高校教員と地域の支援者が連携して活動を始め、1995年には、全国に先駆けて、入試制度や学費のこと、高校の進路選択などの内容を通訳を介して説明を受けられる進学相談会「高校進学ガイダンス」を開始(現在、約20の都道府県で開催されている)。以来約30年にわたり外国につながる子どもたちの学習機会創出を支援してきた。2025年7月、新理事長に就任した大谷千晴氏はこう話す。

「私は1992年から平塚市で30年間、中学校の教員を務めました。教員1年目の担任クラスに日本語が全く話せないブラジル人の生徒がいまして。家庭訪問で“コシーニャ”というブラジルのコロッケを出していただいたのですが、この生徒がいなければ出会えなかった体験でした。私の教員人生は外国人生徒と共に始まったのです」

(※全文:3789文字 画像:あり)

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