問題行動を減らし生徒の自立を促す 日本版スクールワイドPBSとは?

学校は長年、子ども達の問題行動をどう減らすか苦戦してきた。この課題に対し応用行動分析学をベースにした取組みが効果をあげているという。叱るのではなく、適切な行動をいかに増やすかにフォーカスした支援法だ。その理論と実践を、桜美林大学教授の石黒康夫氏に聞いた。

応用行動分析学との出会い
校長を続けながら学び直しを

石黒 康夫

石黒 康夫

桜美林大学 リベラルアーツ学群 教授
東京都公立学校の非常勤講師からキャリアをスタートし、都内の区立中学校での教諭・教頭を経て、2004年に荒川区の中学校の校長に着任。ある出来事をきっかけに、学校経営に取り組みながら明星大学通信制大学院に入学。前期博士課程、後期博士課程を修了し、博士号(教育学)を取得する。その後、世田谷区内の中学校の校長、神奈川県逗子市教育委員会の教育部長を歴任後、桜美林大学の専任教授として活躍。主な著書に『参画型マネジメントで生徒指導が変わる 日本型スクールワイドPBS導入の16ステップ』(図書文化社、共著)、『子どもの言葉で問いを創る授業 小学校編・中学校編』(学事出版、共著)、『30分で会議が終わる! 職員室に変化を起こすブリーフミーティング』(学事出版、共著)など。

教育現場に応用行動分析学を取り入れる動きが広がっている。応用行動分析学に基づくメソッド「スクールワイドPBS」を導入し、校内秩序改善に成功した事例も聞かれる。スクールワイドPBSとは、生徒の問題行動に対して、罰を与えたり、叱ったりするのではなく、「適切な行動を増やす」という観点から、ポジティブな行動支援を全生徒対象に実施する組織的なアプローチだ。

(※全文:4501文字 画像:あり)

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