「トビタテ!留学JAPAN」で学生の英語力は伸びたのか?

今月から始まった本欄では、英語で数か月以内に発表された教育関係の論文を不定期に紹介していく。「海外研究動向」と銘打ってはいるが、日本人研究者による英語論文も扱う。今回紹介するのがまさにそれ。経済学者の樋口裕城氏らのグループによる「留学が語学力の発達に与える影響――日本の大学生から得られた回帰不連続エビデンス」である。

Yuki Higuchi, et al. "Impact of Studying Abroad on Language Skill Development: Regression Discontinuity Evidence from Japanese University Students," Journal of the Japanese and International Economies, Vol. 70 (Dec. 2023). ※オンラインによる先行公開のためページ数なし

統計学的手法を駆使し、トビタテによる
留学が学生に何をもたらしたかを分析

樋口裕城氏ほか、経済学と応用言語学の研究者5 名から成るグループは、日本政府の留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」(以下、トビタテ)が、学生にどのような変化をもたらしたのかを検証した。具体的には、2018年から2020年にかけて、トビタテの合格者と不合格者計709名を対象にパネル調査を実施。そのデータを、統計学の手法である因果推論(causal inference)、その中でも「回帰不連続デザイン」(regression discontinuity design, RDD)を用いて分析。その結果、トビタテによる留学は、学生の英語力を33~38%(標準偏差にすると1.15~1.35)向上させ、…

(※全文:2344 文字 画像:あり)

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