小中学校の事例研究からみる「チーム担任制」の成果と課題

学級担任の責任の軽減や指導における教員の専門性(強み)の活用など「チーム担任制」への注目が高まっている。本稿では筆者の調査を交え「チーム担任制」がもたらす成果と課題を紹介する。

1.「チーム担任制」とは?

安藤 福光

安藤 福光

兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 准教授
筑波大学大学院博士課程人間総合科学研究科学校教育学専攻を単位取得退学。修士(教育学)。専門は、カリキュラム研究、小中一貫教育、中高一貫教育、高等学校教育、教科等横断学習など。武蔵丘短期大学専任講師を経て、2012年4月から現職。

(1)「チーム担任制」とは何か
近年、義務教育段階の学校を中心に「チーム担任制」と称される取り組みが注目を集めています。これまでわが国では、「固定学級担任制」が採用されてきました。これは1年間を通して教員と児童生徒が固定された学級で生活や学習を行うもので、安定的な人間関係を築き、それをもとにして安心感のある学校での生活や学習を目指してきました。一方で「チーム担任制」では、児童生徒集団は、同じ学級のメンバーとして1年間固定されたままですが、担任の教員が一定の間隔で交代していく、という点に特徴があります。色々な教員と関わることで、多様な価値観を形成したり、学校生活における安心感を醸成したりすることが期待されています。

この「チーム担任制」には様々な形態が確認されています。交代の間隔(1週間、2週間、1か月など)、担当教員の配置(一つの学年の学級数に対して何人の教員を配置するのか)、導入学年(小学校例:低学年からの導入、特定の学年だけに導入など)、単学年(学年内の教員で担任を交代)/複数学年(例:第5学年・第6学年の2学年を同一の教員集団で交代)での導入など、学校によって異なります。

多様な形態が存在する理由は、児童生徒や教員の状況などを踏まえて、学校ごとに最適な形を模索しながら導入されるためです。このため名称も様々あって「学年担任制」「複数担任制」「複数学年複数担任制」などがあります。「チーム担任制」はこうした取り組みの総称と言えます。

(※全文:2329文字 画像:あり)

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