文部科学省「土曜学習応援団」実施レポート・中学生が地域と事業を考える

文部科学省の「土曜学習応援団」として、事業構想大学院大学は、小平市立小平第二中学校の「進路学習」の一環で、地域と地域企業の「しごと」を通じ、「働くこと」を考えるための授業を実施した。

企業や大学が小中高の学校などに多様な教育プログラムを提供する、文部科学省の「土曜学習応援団」。その活動の一環として、事業構想大学院大学は、2022年11月18日、小平市立第二中学校2年生へ出前授業を行った。コロナ禍で訪問による職業体験が難しいことを受け、「地域の身近な環境(社会経済面含む)から『しごと』を考えていくこと」をねらいとする「進路学習」の機会の提供である。

小平市立小平第二中学校にて出前授業を実施

生まれ育った地域は
「しごと」を考える学習の場

前半は講義形式で、「地域」とは本源的には人間が生活する場であり、かつては、そこにある資源や特徴を生かした経済活動が暮らしと一体的に行われていたこと。ただし、経済活動優先の世の中になったことで、今、地球環境は限界を迎えていること。しかし世界的な危機感がコロナ禍で加速し、地域と暮らしから経済を見直す大きなきっかけとなっていることを、小平市の具体的な事例も交えて説明した。

さらに、地域と事業の関係性をより具体的に理解してもらうために、生徒にも身近な西武鉄道を運営する株式会社西武ホールディングスに勤める今成瞬さん(事業構想大学院大学修了生)が、鉄道会社が地域密着型の多様な事業展開をしていること、また、地域に貢献しながら経営を持続するためにどのように利益を出しているか、ビジネスの仕組みをわかりやすく説明した。

会社で働いているつもりで
事業アイデアを考える

後半は働くことをより身近にイメージできるよう、3人1組のワークショップを行った。まずは、「地域が活性化するために鉄道会社ができること」についてディスカッションを行った。生徒からは「駅前に駅ビルを建て、にぎやかにしたらよい」「まちのキャラクターを活用すると良い」「駅前の滞在時間を延ばすために、多世代が楽しめる場づくりや、ポイント付与をしてはどうか」など、地元愛溢れるアイデアが次々出された。アイデアに対し、講師から、その経営的な意味や効果、課題について解説した。

3人1組で、新たな事業を考えるグループワークを行い、アイデアを発表した

2つ目のディスカッションでは、「働く」ことに視点を移し、“自身が社員になったつもりで、新しい事業の意義を社長に説明する”と設定し、ビジネスへの関心を促した。

身近な事業の仕組みを理解していくに伴い、生徒たちの表情がより真剣で輝いたものになっていくことが印象的であった。今回の授業を通じ、今後職業選択を考えるうえでの視野の広がりが得られたなら嬉しい。

▼文部科学省「土曜学習応援団」について
https://manabi-mirai.mext.go.jp/program/index.html