海外の学校や専門家らと繋がり 学びを深めるオンラインの可能性[AD]
コロナ禍で進んだ教育のオンライン化。教育現場で新たな学びの模索が続く中、シスコシステムズの「デジタルスクールネットワーク」は、世界の学校や専門家をつなぎ、教室の壁を越えた学びを展開。本誌では様々な立場の教育関係者らが意見を交わし、オンライン教育の可能性を探った。
学校や教育関係者をつなぎ、エクスペリエンスの向上を目指す
Cisco(シスコ)の略称で呼ばれるシスコシステムズは、米・スタンフォード大学、学生ベンチャー発の世界最大のネットワークベンダー。同社の提供するウエブ会議ツール「Cisco Webex」は、スマホや PC など様々な端末から使えるクラウドサービスとして、医療や G7 などの国際会議をはじめ、学校などの教育機関でも多く採用されている。
シスコが、同社のテクノロジーを使う世界の学校や教育関係者を結び付け、革新的なソリューションを共有することで、エクスペリエンスを高めていく取組みとして開始したのが、「デジタルスクールネットワーク」だ。小中高のユーザー向けに、「Cisco Webex Teams」上で無償コミュニティプログラムを提供。参加校は国内だけでなく、タイムゾーンの近い国々の参加校とも交流できる。
また、コンテンツプロバイダー(大学などの高等教育機関)から、先進的な授業の機会を得ることも可能だ。
現在、オーストラリア、ニュージーランドを中心にアジア太平洋地区の5か国(100校以上)がメンバーとして参加し、日本でも2018年9月からメンバーを募集してきた。
この1年、コロナ禍で日本でも急速に教育のオンライン化が進んだ。「デジタルスクールネットワーク」参加校では、オンラインをより有効に活用するための、様々な取り組みがなされてきた。
田村信吾
シスコシステムズ合同会社
公共事業 事業推進本部 部長
今後、オンラインのさらなる定着化が予測されるなか、教育現場はどのように変化していくのか。シスコシステムズ公共事業 事業推進本部 部長の田村信吾氏をファシリテーターに、「デジタルスクールネットワーク」に携わった、産業能率大学教授・藤岡慎二氏、宮崎県立飯野高校指導教諭・梅北瑞輝氏、一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(通称「こゆ財団」)教育イノベーション推進専門官・中山隆氏の三者が集まり、この1年の教育現場の取組みと変化、オンラインのメリット・デメリット、シスコの展開する「デジタルスクールネットワーク」への期待などについて、それぞれの立場から意見を交わした。
緊急事態宣言から1年 各教育現場での取組みは
中山隆
宮崎県新富町で教育推進コーディネーターとして ICT 活用も含めた教育活動の推進を行う、こゆ財団の中山氏。緊急事態宣言の発令された2020年4月以降、県全体での ICT 勉強会、研修会を4月から5月の間に急遽実施したという。「先行して ICT を活用してきた飯野高校の事例などを紹介しながら、小中高向けにオンライン勉強会・研修会を行い、県全体でトラブルを乗り越えていく気運を高めていきました」(中山氏)。
梅北瑞輝
宮崎県立飯野高校指導教諭
一方、「デジタルスクールネットワーク」参加校でもある宮崎県立飯野高校では、3月の休校措置と同時に ICT の活用を検討。生徒との面談で自宅の通信環境を確認すると同時に、若手教員を中心にオンライン活用法を共有、それを全職員に研修した。
飯野高校の梅北氏は「オンラインを先生も生徒も使えるようになり、学校や自宅にいながら外の人と繋ぐことが可能になったことは、非常に大きな成果かと思います。これまでの活動に+αのものを加えることができた1年だったかと思います」と話す。
藤岡慎二
産業能率大学教授
一方、高等教育機関である大学。産業能率大学と北陸大学で教鞭をとる藤岡氏は、2020年5月、完全オンラインの状況でアクティブラーニングを試みた。
「学生たちがデジタルネイティブ世代なこともあり、オンライン上でディスカッションしたり、共同作業をしたり、かなり色々なツールを組み合わせながらアクティブラーニングができたかなと思います」(藤岡氏)
ハイブリッド時代の、メリットとデメリット
2020年、年間を通じてオンライン授業を行ってきたという藤岡氏。学生側からは「全員が最前列にいる状態で資料が見やすく集中しやすい」「通学時間がいらなくて良い」といったポジティブな声が上がっているという。一方で、グループワークに関しては、生徒のやる気に関わらずランダムにグループが分かれるため、熱量の差があり、やる気のある学生にとってはつらいといった意見も出た。
北陸大学での地域活性化をテーマとした授業では、各地域の課題に対し学生の考えたソリューションをオンラインでプレゼンし、実際に地域の人々とディスカッションする授業なども行った。
「金沢にいながらにして、北の話も南の話も聞けるため、比較検討できるという点で、非常に効果的だったかと思います」(藤岡氏)
オンラインでの教員研修を行ってきた中山氏は「100人を超える新富町内の小中学校の教員全員が、自分の学校で研修を受ける環境が整うのは、リモートツールのメリットの1つです」と話す。また、埼玉県、宮崎県、島根県と合同で「Cisco Webex」を活用した探究活動の発表会なども企画したが、オンラインで繋がることで、旅費や宿泊費の削減ができ、こうしたイベントへの学校参加のハードルは各段に下がる。
「テクノロジーを通じて地域、世界を越えてつながることができます。特に『Cisco Webex』を使うメリットは国際交流ができることかと思います」(中山氏)
飯野高校の梅北氏は、オンラインでの授業を始めたことで、小さなグループ単位で専門家からレクチャーを受けたり、地域外のプロフェッショナルに話を聞く機会が増えたという。さらに、学習の個別最適化という面でも、生徒たちの学びのスピードに合わせ、個別に生徒たちが学びを取りに行ける環境ができ始めたという。
「これまで教員対生徒、1対40でやってきた授業を1対1に近づけていく。学習の個別最適化を加速させる基盤が、この1年でできたかと思います」(梅北氏)
国も分野も越境 無限に広がる学びを提供
国内外、様々な地域の子どもたちや人々をつなぎ、それぞれの学校での学びを深めていくことが「デジタルスクールネットワーク」の狙いの1つ。
「サイバーセキュリティや LGBT など、教育者がリーチできない分野の人々をつなげてもらえる。複数校でシェアできる環境を作ってもらえていることは、すごくありがたいと思っています」と中山氏。
さらに、同時多発的に北海道から九州、沖縄までやり取りができることは、子どもたちの学びの幅を広げる。
「この1年、地域を越えた交流が、子どもたちの新たな気づき、価値観、感情を生み出すことが顕著にみられました。これまでは地域軸で見ていましたが、今後は国を越える、国際交流で世界とつながることが重要かと思います。それをつないでいただけるのが『デジタルスクールネットワーク』の魅力かと思います」(中山氏)
飯野高校では、この1年、「Cisco Webex」を使い、英語の授業の時間に台湾の高校と交流を行ってきた。これまで地域を主体で活動していた子どもたちがオンラインで越境し海外とつながることで、〈深い学び〉を獲得できる。例えば、地域の課題解決をしようとする時には、地域だけを見るのではなく、外の世界、海外の事情を知り、そこを起点に課題解決策を考えていくことができるようになっていく。
オンライン化で海外とつながるというハードルが低くなる一方で、こうした探究授業を支援する教員側のハードルは上がる。
「教員がファシリテーター、コーディネート的な役割を担って、幅広い学びの中から出てきた子どもたちのアイデアと地域課題とをマッチングさせていくことが必要になっていくと思います」(梅北氏)
高等教育機関として小中高にコンテンツを提供する立場の藤岡氏は、「現在、全国的に先生方が『探究の授業をどうするか』、やり方も含めて悩まれている状況です」と話す。全国5,000の高校を全て回るのは難しいが、オンラインでつなぐことで、情報の共有やコミュニケーションをとっていくことはできる。
「去年は高校生に向けた探究の授業を実際にオンラインで行いました。また、海外の学校とコラボした探究授業、アクティブラーニングを紹介することで、授業の組み立てのきっかけづくりができればと考えています」(藤岡氏)
飯野高校で行ってきた台湾との交流では、「Cisco Webex」の同時翻訳の機能を活用し、世界共通の問題である新型コロナウイルスについて、台湾の高校生とディスカッションを行った。
「共通の課題である新型コロナウイルスに関し、違う国、違う文化の子どもたちと意見を交わせたことは、非常に大きな経験となりました。こうした活動を、ぜひ、ニュージーランド、オーストラリアと広げてやっていければと思います。大人数でも『Webex Board』を使って対話できることも『Cisco Webex』の強みかと思います」(梅北氏)
テクノロジーにより、個別の学びにあわせ、学校や地域にないリソース、コミュニケーション相手にリーチできること。地域や国を越えた交流が可能になることなどが、オンライン授業ならではのメリット、学びの可能性であると言える。
ディスカッションを終え、シスコの田村氏は「『デジタルスクールネットワーク』では、今後も幅広いコミュニティの形成を支援し、国際交流についてのチャレンジも積極的にしていきたいと思っています」と締めくくった。
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