古川柳蔵・東京都市大学教授と考える「制約の中の豊かさ」
便利さの果てに、
私たちが見失ったもの
古川 柳蔵
東京都市大学 環境学部 環境経営システム学科 教授
1972年東京都生まれ。博士(学術)。専門は環境イノベーション。東京大学大学院修了後、民間シンクタンクを経て博士号取得。東北大学大学院准教授を経て2018年より現職。ライフスタイル・デザインやネイチャー・テクノロジー等の研究に取り組む。著書に『バックキャスト思考』等多数。最新刊は『聞書 戦前の暮らし方――「90歳」の証言集』(筑摩選書、2026年)。
スマートフォンひとつで買い物ができ、ボタンひとつで部屋が暖まる。私たちの暮らしは、この100年で劇的に便利になった。しかし、便利さを追い求めた先に、私たちは本当に豊かになったのだろうか。
地球環境の制約は年々厳しさを増している。少子高齢化は地域社会の基盤を揺るがし、人と人とのつながりは希薄化している。こうした制約に直面したとき、私たちは「不便になった」と嘆くばかりだ。だが、そもそも制約とは、本当にマイナスでしかないのだろうか。
実は、今よりはるかに多くの制約の中で暮らしていた時代がある。電化製品はほぼなく、移動手段も限られ、現代と比べれば圧倒的に不便だった戦前の日本。しかしそこには、自然とともに生きる知恵があり、人と人とが支え合う関係があり、物を最後まで使い切る工夫があった。制約があったからこそ見えていた豊かさが、確かに存在していたのだ。
(※全文:1918文字 画像:あり)
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