様々な解釈を創造し合う、美術鑑賞プログラム

創造性を育むという点で、アート・芸術に触れる重要性を指摘する人も多い。アーティストの佐藤悠氏は、美術館や企業研修、中学・高校・大学等で、日常でアートに触れ、楽しめることを目指して、美術鑑賞プログラムを展開している。その具体的な実践について話を伺った。

誰かの鑑賞視点を楽しむ
メタな鑑賞感覚が残るプログラム

佐藤 悠

佐藤 悠

アーティスト・鑑賞プログラマー
1985年、三重県生まれ。東京芸術大学先端芸術表現科博士課程修了。一見何も無いところから、表現が紡ぎ出される現場を作る活動として、滞在制作、パフォーマンス、レクチャー、ワークショップ、美術鑑賞プログラムなどを展開。様々な表現を場や機会に応じて発表している。主な展覧会・参加企画等に、「ゴロゴロ莇平」、「知ったかアート大学」など。2022年には、粟島芸術家村(香川県三豊市)で、島民や観光客などとともに、「粟島大絵地図」を制作。

──美術鑑賞プログラムのコンセプトをお聞かせください。

コンセプトとして考えていることは、「鑑賞の鑑賞」=メタな鑑賞を行うという点と「すでに鑑賞は完成している」という2点があります。

僕はプログラムの参加者について、鑑賞のプロになってほしいのではなく、日常でアートに触れることを楽しめるようになってほしいと思っています。その中で、作品に興味を持ち、理解を深めることは必ずしも必要ではなく、むしろ他人が鑑賞する時の鑑賞態度や解釈に興味を持つことがより重要だと考えています。

例えば、自分の家族、パートナー、友人がこの作品を見たらどう感じるんだろうと興味を持つことが、プログラム後もアートに触れるモチベーションにつながるので、そういった誰かの鑑賞視点を楽しむ、…

(※全文:2452文字 画像:あり)

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