教育・働き方のクラウド活用から見る教育DXの現状と課題とは?[AD]

文部科学省は1人1台端末の活用に向け、セキュリティ対策やクラウドサービスの活用を前提とした「教育情報セキュリティポリシーガイドライン」の2回目の改訂を行った。教育DXの現状と課題について、KUコンサルティング代表の髙橋邦夫氏とBox Japanの大屋俊一郎氏が対談した。

1人1台端末で高まる
クラウド活用の可能性

髙橋 邦夫

髙橋 邦夫

合同会社KUコンサルティング代表

大屋 俊一郎

大屋俊一郎

株式会社Box Japan執行役員

KUコンサルティング代表の髙橋 邦夫氏は、文部科学省情報セキュリティ対策推進チーム副主査として「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の策定、2019年の第1回改訂作業の中心的役割を担った。その後、GIGAスクール構想により、1人1台端末が整備された2021年5月の2度目の改訂では検討会の座長を務めた。

髙橋「教育現場のICT化で最も重要なことは『活用』です。子ども達が活用してはじめて、ICTを整備する意味があります。厳しいフィルタリングで、あれもこれも使えないのではリテラシーは高まりません。活用する中で子ども達がリテラシーを身につけていくことが大切です」

Box Japanは、教育現場ではきっても切り離せない文書やファイルをクラウドで管理するサービスを提供。小・中学校から大学を対象に教育DXを支援し、GIGAスクール構想を強力にサポートする。Box Japan執行役員の大屋俊一郎氏はこう話す。

大屋「Boxの日本法人が設立された2013年より、高等教育機関では他の業種に先駆け早くからBoxを導入し、校務・教務の両領域で活用しています。例えば、大学間での共同研究や学生の課題提出などが代表的な利用シーンです。今後は大学の皆さんと作り上げた業務課題解決の流れや使いこなしのノウハウを、高校や小・中学校へお伝えしていきたいと考えています。教職員の方や児童・生徒の保護者の方も、職場で我々のようなサービスを利用してきていますので、その土壌が整ってきたと感じています」

髙橋「1人1台端末で、アカウントも1人1アカウントになりました。これで、蓄積された情報は進級、進学後もずっと使い続けることができます。そうした情報をクラウドに預けて活用することで、より大きな価値が出てくると思います」

大屋 「そうですね。1人1台端末の環境が整ったところで、もう一段デジタル活用のステージを上げていくには、我々ベンダー側も、システムを提供する以外の教育機関への付加価値提供が必要と考えています」

表 個人情報保護審議会に諮る上で整理すべき項目の例

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自治体の中で教育委員会はDXが特に進んでいると髙橋氏は話す。一方、クラウド活用に向けて個人情報の取り扱いがボトルネックになっていると指摘する。先のガイドライン改訂では、クラウドサービスを利用する際の個人情報保護条例に関する内容を追記。個人情報保護審議会に諮る上での論点を整理している(表)。

髙橋 「子どもの作品や学習履歴も個人情報になります。教育委員会がいくらクラウドを活用しようとしても自治体のポリシーでクラウドには預けられないとなれば、断念せざるをえません。教育委員会の方にはガイドラインを活用いただき、自治体の首長部局とともに、一歩踏み出していただければと思います」

教員の働き方改革が大きな課題
校務でもクラウド活用を

ICTを活用した教育が進む一方で、新たな教育環境への対応やコロナ対策など、教員の負担は増え、働き方改革が大きな課題となっている。

髙橋 「大多数の教師は県職員の身分ですので、異動は県単位となります。県下の自治体が同じ校務支援を活用すれば、異動があっても手順を覚え直す必要はなくなります。実際に奈良県では、そのような対策が取られています。こうした形でクラウドを活用していくことが、働き方改革の第一歩になるかと思います」

大屋 「クラウド活用は、『働き方改革』から『働きがい改革』に視点が移ってきています。いつでもどこでも、どの端末からでも繋がれるクラウド。テレワークへの対応にとどまらず、教員間や県単位、さらに県を越えた情報共有を可能にします。今回、ガイドライン改訂に伴って校務でのクラウド活用が強調されたことで我々ができるご提案の幅は大きく広がりました。Boxを教員のファイルサーバーとして利用するだけでなく、新しい取り組みに活用する自治体様の事例も出てきています」

保護者との関係における活用はその一例であると大屋氏は指摘する。

大屋 「例えばモバイルメッセンジャーアプリとBoxを連携させ、学校での学習状況を保護者にセキュアに提供することもできます。学校からの様々な連絡を、常時保管し、いつでも確認できることは、クラウド活用の大きなメリットだと思います」

ノウハウを交換できる場づくり
教育DX推進には連携が重要

デジタル庁の発足により、今後、自治体DXの加速が予測される。教育委員会もICT専門の担当者を配置する動きが増えている。この様に組織としてDXを推進する上では、専門人材も重要だが、世の中のITツールをよく知り、フィルタリングできる目を持つ人材を増やしていくことも大切だと大屋氏は指摘する。

大屋 「世の中に溢れるITツールを取捨選択し、業務に組み込んでいける人材を増やすため、当社では、情報やノウハウを交換できるユーザー会などのコミュニティを支援しています」

髙橋 「自治体内部でもそうした交流会は行っていますが、内部に閉じず、そうした交流の場が外に広がっていけばもっと良いと思います。学校には多様なステークホルダーがいます。教育DXを推進し、必要に応じて学校のデータを中に閉じずに外部と連携していくことも必要かと思います。その意味でも、学校におけるクラウド活用の価値は大きいと考えています」

DXを進める上で重要なことは何か。最後に両者はこう締めくくった。

大屋 「有り体に言えば重要なことは、『何のためにICTツールを入れるのか』という視点です。仕事の仕方を変えるためなら、ツールを入れることがゴールではありません。先輩たちから受け継がれてきたやり方を変えるのはハードワークですが、現状の健康診断のために我々のような外部の目も参考にするのはどうでしょう。一緒に協働し、全体最適をしていくなかで、仕事の仕方の新しい定義づくりを、官民一体となってやっていければと思います」

髙橋 「教育DXに向けて、下地となる環境は揃いました。それを、どう本当の目的に近づけるか。ICTは使ってはじめて価値が出ます。そのためには、色んな人の知恵を集結させることが必要だと思います」

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株式会社Box Japan

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