アプリ等の活用による組織的対応でいじめの深刻化を防ぐ

発達心理学の観点からいじめの原因を探り、発生への予防だけでなく深刻化抑制や予後に目を向けているのが臨床心理士・公認心理師でもある北海道大学の加藤弘通准教授だ。専用アプリの導入など、令和時代に必要ないじめ対応策について話を伺った。

「ごんぎつね」を読める力が
いじめや自殺を可能にする

加藤 弘通

加藤 弘通

北海道大学大学院 教育学研究院 准教授
博士(心理学)、臨床心理士、公認心理師。中央大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得後退学後、常葉学園短期大学保育科講師、静岡大学教育学部学校教育講座教育相談学専修准教授などを経て、2013年4月より現職。専門分野は発達心理学。問題行動を可能にする思春期の発達過程を研究している。また、札幌市教育委員会や戸田市教育委員会の外部委員・研究員として、いじめ・不登校問題に取り組んでいる。

2023年10月に文部科学省より公表された「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和3年度)」によると、いじめ認知件数は61万件を超え過去最多となった。しかし、学校や教育委員会を対象としたこの調査は、子どもたちの目線から見た実態とはズレがあると、北海道大学の加藤弘通准教授は指摘する。

「担任の先生がいじめの気配を感じたとしても、主任の先生への報告や校内調査を経て、教育委員会に上げる段階に至らないと、いじめとしてカウントされないからです。私の研究室では、子どもたちを対象としたアンケートをとり続けています。過去3カ月間に一度でも悪口を言われた、暴力を受けたことがあれば『いじめ』とカウントすると、…

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