推進チームで教員の負担を把握 現場主導の働き方改革の実現を

学校現場の働き方改革が叫ばれて久しいが、依然として教員の長時間労働は深刻なままだ。大きく変わらない現状に対して、自ら行動を起こした元教員がいる。学校現場主導による働き方改革を支援するÉ-couleur代表取締役のイム ソネ(任善愛)氏に話を聞いた。

教員の時に感じた問題意識から
働き方改革を支援する会社を起業

任 善愛

任 善愛

É-couleur株式会社 代表取締役
大学卒業後、中高一貫校にて日本文学・言語学の教諭として教壇に立つ。出産を機に教職を退いたのち、子育てと仕事をしながら心理学を学び、公認心理師およびアンガーマネジメントファシリテーターの資格を取得。2019年にÉ-couleur株式会社を設立し、カウンセリングとマネジメント研修やコンサルティングをスタート。現在は「教育界への貢献と人材育成」を理念に掲げ、東京と静岡を拠点に教育現場の働き方改革に取り組んでいる。

学校現場における働き方改革は、喫緊の課題だ。文部科学省が発表した2024年度「公立学校教員採用選考試験の実施状況」によると、全体の採用倍率は過去最低の3.2倍を記録。中でも小学校では2.2倍と、2000年に過去最高の倍率だった12.5倍の頃と比べると、その下落は著しい。

背景には、常態化した長時間労働がある。業務量の多さに加えて、教員自身の時間管理の意識も指摘されている。このまま人材不足が深刻化すれば、子どもたちの学びを支える教育の質にも、確実に影響が及ぶだろう。学校現場の働き方改革を支援するÉ-couleur(イークルール)代表のイムソネ氏は、働き方改革の進め方にあたって、「教員自身が“より良い働き方とは何が必要か”を自分たちで考えることが第一歩」だと語る。イム氏は中高一貫校で10年間教員を務めていた。産休を取得した時期と、不登校や教職員のメンタル不調が話題となった時期が重なり、教員の働き方に問題意識が芽生えた。

「教員だったからこそ現場の気持ちはよくわかります。『だからこそ自分にできることがあるのでは』と考えるようになりました。それが、起業を意識した最初のきっかけです」

(※全文:2517文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。