大学入試制度を学問的知見から設計できる専門人材の育成へ

少子化が進み大学入試の多様化が進む中で、2023年12月、大学入試を研究対象とする大学教員や進路指導を行う高校教師などから構成される「大学入試学会」が設立された。学会設立を主導した東北大学教授の倉元直樹氏に、学会設立の背景や同学会が目指す未来について話を伺った。

大学入試を学問分野として確立し
制度設計ができる人材を育成

倉元 直樹

倉元 直樹

大学入試学会 理事長
東北大学 高度教養教育・学生支援機構 高等教育開発部門 入試開発室 教授
専門は教育心理学。学問分野にとらわれずに東北大学の学部入試の改善や日本の大学入試の改善を目的とした研究を中心に幅広いテーマで取り組んできた。大学入試センター助手、東北大学アドミッションセンター助教授を経て、現職。全国大学入学者選抜研究連絡協議会 企画委員会委員。日本テスト学会 理事。

──大学入試に特化した学会を設立されました。その背景についてお聞かせください。

倉元 私が東北大学の入試に携わって25年になります。東北大学入試センターでは入試業務を中核的に担うほか、入試広報活動や高大接続・連携事業の企画実施を行ってきました。この間、各大学でアドミッションセンターが設置されてきましたが、実際には大学入試に関してアカデミックなバッググラウンドを持ち、最適な入試を設計できる専門人材が行きわたったわけではありません。

その要因として、大学入試は日本に限らず世界的にも学術研究の対象と見なされてこなかったことが挙げられます。しかしながら、…

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