改革推進と不祥事防止の両面から見る大学ガバナンス改革の行方とは?

社会が大きく変化する中で、知の拠点たる大学に、教育・研究力・社会貢献に向けたガバナンス改革が求められている。一方で、私学の相次ぐ不祥事から、大学のガバナンス改革を求める声も大きい。大学のガバナンス問題に詳しい、東京大学の両角亜希子教授に、話を伺った。

近年のガバナンスに対する
社会の不信感と私大の反発

両角 亜希子

両角 亜希子

東京大学大学院 教育学研究科 教授
慶應義塾大学環境情報学部卒、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了、博士(教育学)。産業技術総合研究所研究員、東京大学大学総合教育研究センター助手、助教、東京大学大学院教育学研究科講師、准教授を経て2021年より現職。専門分野は高等教育論。2020年「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」委員を務めた。著書に『日本の大学経営-自律的・協働的改革をめざして』(東信堂)、『学長リーダーシップの条件』(東信堂)など。

私立大学の不祥事が目立っている。近年は歴史もあり、多くの人が信頼を寄せているような私立大学でのガバナンス不全も露呈した。

私立大学は補助金や税制上のさまざまな優遇措置を受けているが、情報公開が不十分であるため、社会一般からは大学内部の状況がわからず、そもそもガバナンスへの信頼は決して高くない。そう指摘するのは、大学経営をテーマに研究している東京大学教授の両角亜希子氏だ。

「多くの私立大学ではガバナンスが健全に機能しています。ですが、私立大学のガバナンスの複雑さや不透明さがあり、そこにいくつかの不祥事が重なったために、『積極的に法的枠組みを変えるべきだ』という世論が強く出ていると考えられます」

学校法人のガバナンス改革を振り返ると、「経済財政運営と改革の基本方針2019」(2019年6月)の中で、…

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