2050年社会課題にチームで挑戦 エネルギーを総合的視点で探究[AD]

未来の社会課題解決策とエネルギーの関わりを研究し、その成果を競うコンテストが静岡で行われた。研究過程では企業・大学の専門家らと真剣な対話を重ねて問題意識を深め、30年後に向けた提言を行うなど、科目を超えた総合的な視野を醸成する場として成果を上げている。

「高校生が競う Energy Pitch!(エネルギー・ピッチ)」は2020年度大会で2回目。電気新聞(日本電気協会新聞部)と静岡新聞社との共催で実施している。今年度は新型コロナウィルスの影響を勘案し、静岡県内の高校に限定し3校が出場。2020年11月21(土)、22日(日)の2日間、静岡県男女共同参画センターあざれあ(静岡市)で発表会が行われた。

2020年度の参加校と研究テーマ

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ありたい未来とエネルギー、生徒・指導者に問いかけ

2050年には現在の高校生たちが大人になり、社会の中核を担う。

エネルギー・ピッチは「自分たちが親世代になる30年後、ありたい2050年とはどんな姿か、その社会を支えるために必要なエネルギーとは何か」を考え、発表する企画だ。高校生たちは自らが中核となる未来への道筋を描きながら社会とエネルギーの関わりを考え、指導をする大人たちも、30年後に向けて今、自分たちは何をなすべきかという問いに迫られる。

「エネルギー基礎講座」で講師を務めた竹内純子・国際環境経済研究所理事は、経済成長と CO2排出量の相関や国際社会での論争などについても解説。「気候変動問題は実は経済の問題。SDGs 達成はきれいごとではないと伝えたが、高校生たちは正面から受けとめてくれた」と話す。

連続で参加している静岡県立三島北高校の齊藤浩幸校長も「企業・専門家などから学校では教えられない生の現場の声が聞ける貴重な機会だ」と評価する。同校は文部科学省の WWL 事業拠点校として「STEM for SDGs」をテーマに活動を行っているが、エネルギー・ピッチもその一環として参加している。

段階踏み研究レベルアップ 目的意識が明確な学びの場

エネルギー・ピッチは、「研究から発表へ」という大きな流れの中に、複数の学びのステップがあることが特徴だ。自分たちで組み立てた研究内容を段階的にアウトプットし、外部専門家らからの知識吸収やレビューを受けることで気づきを得て修正。それを繰り返すことにより、レベルを上げていく。

高校生が競う Energy Pitch! 主なスケジュール

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具体的には、まず「エネルギー基礎講座」で、講師(有識者)とのやり取りの中で科目の壁を越えたエネルギーや環境問題の複雑さや面白さを学ぶ。「フィールドワーク」は、各校の研究テーマに関連する研究を行っている企業や大学の研究者らに直接話を聞く場となる。研究テーマは微生物燃料電池や宇宙エレベーターといった専門性の高い技術だが、講義は毎回2時間以上に及ぶなど、白熱したやりとりが続く。

指導側からは「大学生でも発しないような突っ込んだ質問も多い。目的意識が明確で、本当の学びの場」(渡邉信・筑波大学特命教授)という声が、学校側からも「エネルギーや環境に関するコストや生産手法、また社会的受容性など、物理や化学などの科目の外側にある総合的な視点を具体的に教えてもらえた。生徒たちの考え方も大きく変わったと思う」(海野貴央・静岡市立高校教諭)との声が聞かれている。

発表会の2日間は集大成となるが、特に初めて人前で発表を行う予選会では、審査委員から「kw(電力)と kwh(電力量)の使い方が違う」「データの出典は」など、厳しい指摘が飛んだ。生徒同士でも、他校の気になる部分を指摘する。これを受けて、各チームは翌日の発表会本選に向けた修正を行った。

「厳しい指摘に頭を抱えるが、短い時間に集中して取り組み、驚くような成長をみせる」(氏原潔・静岡県立駿河総合高校教諭)という。本選の舞台でも、審査委員と再び厳しいやりとりも行われたが、生徒たちは堂々と答えた。終了後は順位に関係なく、全員がやりきった笑顔を見せていたのが印象的だ。

参加生徒が周囲に好影響を 社会との関わりの視点提供

2020年度の審査委員を務めた山本隆三・常葉大学経営学部教授は「授業や課外活動の合間を縫って研究を続けてきた熱意は、周囲の生徒たちにも良い影響を及ぼしているはず」と意義を強調。協力企業も「私たち大人も含め、社会全体でより良い未来を考えていくことの重要性を再認識した」(西松建設)と評価する。

スタートからこの企画を支援してきた中部電力では、「ありたい社会を考え、それを実現するためにはどのようなエネルギーが必要かと考えることは、エネルギー問題に向き合う本質的な議論。エネルギーと社会との関わりを実践的に学ぶ機会を支援していきたい」(丹羽宏之・総務・広報・地域共生本部エネルギー広報グループ長)としている。

【お問い合わせ】

一般社団法人日本電気協会新聞部
電気新聞メディア事業局内
2020年度高校生が競う Energy Pitch! 事務局
TEL:03-3211-1555
高校生が競うエネルギーピッチ

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