シブヤ発の地域部活動。一般社団法人を立上げ、子どもファーストの地域移行に

少子化による廃部や教員の働き方改革などの流れを受け、政府は部活動の地域移行に向けた整備等の支援を進めている。先行事例として注目される一般社団法人渋谷ユナイテッド。同法人を立ち上げた元渋谷区教育長で、代表理事の豊岡弘敏氏に地域移行の意義や課題を伺った。

区・教育委員会の外に組織を作り
迅速かつ大胆な革新を推進

豊岡 弘敏

豊岡 弘敏

一般社団法人渋谷ユナイテッド 代表理事
東京女子体育大学・東京女子体育短期大学 教授
東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了、東京都公立中学校保健体育科教諭、練馬区教育委員会指導主事・統括指導主事、渋谷区立上原中学校統括校長、渋谷区教育委員会教育長、渋谷区スポーツ部スポーツ振興課スポーツ専門員など歴任。2021年10月より現職。2022年4月より東京女子体育大学・東京女子体育短期大学教授。著書に『なぜシブヤの小学2年生はタブレットを使いこなせるのか?』(時事通信社)等、『新時代の地域クラブ活動と運動部活動-そのビジョンとミッション(仮)』(大修館書店)第7章原稿執筆2023年4月発行予定。部活動経験はサッカー部。

東京都渋谷区は、2020年4月から地域移行の準備に着手。最初は、教育委員会が主催し、月1回のサッカークリニック(教室)を実施した。区内の公立中学校は8校あるが、サッカー部は3校のみ。そこで、区内の全中学校からサッカーをしたい生徒が集まって合同で活動できる場をつくった。当時、渋谷区教育長だった豊岡弘敏氏はこう振り返る。

「教員の『働き方改革』の文脈から語られることが多い地域移行ですが、渋谷区が重視したのは、子どもたちがやりたいスポーツや部活をする権利を守ることです。渋谷区長とミーティングを重ねるうち、区や教育委員会の外に組織をつくってアウトソースしたほうが、協賛金などの援助を得やすく、迅速かつ円滑に改革を進められる、というアイデアが出て、実行を任されたのです。元体育教師の私にとって、やり甲斐のあるミッションでした」

折しも、教育長としての任期は最終の3年度目。学校デジタル改革の基盤整備を見届けて区スポーツ部の専門員へと異動すると、…

(※全文:2195文字 画像:あり)

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。