「わかりやすさ」の罠を超えて深い学びを実現する授業設計
「骨太の方針2025」が「デジタル教科書の利活用促進」や「生成AI活用」を明記した。教育現場への広がりを見せる中、本稿では、これらツールとの向き合い方、授業設計の在り方を考えたい。
今、日本の教育現場にデジタル教科書と生成AIという大波が押し寄せている。教育現場の反応は複雑だ。これらの技術が学習の「効率化」や「個別最適化」をもたらす革新的なツールとして歓迎されている一方で、この「万能ツール」が皮肉にも新たな問題を生み出していると指摘する専門家もいる。瞬時に答えが得られ、視覚的にもわかりやすく加工された情報環境は一見便利に思える。しかし、子どもたちが自ら考え、試行錯誤する機会を奪っているのではないか。つまり、人間の学びの本質に根ざした設計がなければ、これらの技術がかえって表面的な理解や脳の不活性を招く恐れがある。
マルチモーダル情報の罠:
記憶と意味づけの脳科学

髙橋 一也
ELSA Japan合同会社 事業開発部長
慶應義塾大学大学院卒業後、米ジョージア大学教育大学院にてインストラクショナルデザインを学び、全米優等生協会に選出される。聖学院中高英語教諭、工学院中高教頭を歴任。2018年オランダ・ユトレヒト大学院で認知心理学研究。PBL・アクティブラーニング実践者として2016年グローバルティーチャー賞最終候補に日本人初選出。大学講師を経て、2021年からELSA Japan立ち上げに参画。東北大医学系研究科人間脳科学の博士課程にも在籍中。
(※全文:2772文字 画像:あり)
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