講演ダイジェスト・社会のグランドデザインを描くために求められる教育と知

今年4月1日に校名を変更した社会構想大学院大学。大学名称の変更を記念し、5月22日にオンラインシンポジウムが行われた。当日は、学術・教育・産業の各分野から集まった4名のパネリストが講演。その模様をダイジェストで紹介する。(編集部)

「社会的共通資本」の理念と
教育が大切な真の理由

画像左上より時計回りに、出雲 充 株式会社ユーグレナ 代表取締役社長、遠藤 洋路 熊本市教育委員会 教育長、小島 寛之 帝京大学 経済学部経済学科 教授、川山 竜二 社会構想大学院大学 学監

帝京大学の小島氏は、『社会的共通資本』を提唱した経済学者・宇沢弘文氏の教え子。宇沢氏はシカゴ大学教授時代に新古典派経済学の分野で目覚ましい業績を上げたが、帰国後は環境問題などに関心を寄せ、通常の経済理論とは一線を画する社会的共通資本の理論を発表した。

小島氏は、社会的共通資本の定義を「市民一人ひとりが人間的尊厳を守り、魂の自立を図り、市民的自由が最大限に保たれるような生活を営むために重要な役割を果たす、財や社会的装置」と解説。河川・森林・大気など人間の生活の根幹をなす『自然資本』、生活を豊かにする道路・下水道・鉄道などのインフラである『社会資本』、そして学校教育・医療・金融といった『制度資本』の3つを社会に行き渡らせることで実質所得分配の不平等性を是正し、社会の安定性を保持する構想だと説明した。

(※全文:2249文字 画像:あり)

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