逆境に立ち向かう力を育む アントレプレナーシップ教育
「やらない後悔は一生残る」。その言葉を胸に、国内大手企業から進学校の民間人校長へと転身した生井秀一氏。教育改革の柱として探究学習に取り入れた「アントレプレナーシップ教育」とはどのような内容なのか。その取り組みや成果などについて、話を聞いた。
花王の部長から
公募で県立校の校長に転身

生井 秀一
茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校 校長
大学卒業後、花王に入社し、営業、マーケティング部門を経て、2021年にDX戦略推進センターEC推進部長に就任。24年間の在籍中に社長表彰を3度受賞する。2023年、1600名超の応募があった茨城県内の公立中高一貫校の校長公募試験に合格し、同校副校長を経て2024年4月から校長に就任。現在はデジタル活用とアントレプレナーシップ教育を柱に次世代人材の育成に取り組む。早稲田大学ビジネススクールで経営学修士(MBA)取得。近著に『13歳からのアントレプレナーシップ』(かんき出版)がある。
花王のDX推進部長という華やかなキャリアを手放し、学校教育に飛び込んだ人物がいる。茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校の校長、生井秀一氏である。花王でEC戦略を統括し、社長表彰を3度受賞。DX部門内では45歳で最年少部長に就任した経験を持つ。在職中に早稲田大学ビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得。大学院でアントレプレナーシップを学びながら、転職サイトで偶然目にした「民間人校長」の公募に応募した。
「アントプレナーシップのゼミを担当する長谷川博和教授に師事を受けた時、『自分の市場価値ぐらい自分でわからないと。そのためには転職サイトに登録するといい』とアドバイスを受けたんです。それで、『茨城県でアントレプレナーシップを教えられる校長募集』を目にした時、これはもう運命だと思いました」
1600人を超える応募者の中から合格者わずか3人のうちの1人に選ばれ、2023年度に副校長として着任、翌2024年度から校長となった。
教育現場に足を踏み入れた当初、生井氏の目には何が映ったのだろうか。「私はビジネスの世界から教育現場に入った“ど素人”でしたから、ある意味フラットに見られたと思います」と前置きしつつ、まず驚いたのは先生たちの働き方だと語る。
(※全文:3400文字 画像:あり)
全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。