GIGAスクール構想で見えてきた課題、1人1台端末とこれからの学びとは?

GIGAスクール構想によるICT端末は、全自治体等のうち96.2%に当たる1,744自治体等で整備済みとなった(2021年7月末時点)。現状をどう捉え、今後どう進めていけばいいのか。教育の情報化に精通する東北大学大学院・東京学芸大学大学院の堀田龍也教授が解説する。

導入後、半年程度で
活用頻度は高まる傾向にある

堀田 龍也

堀田 龍也

東北大学大学院 情報科学研究科 教授
東京学芸大学大学院 教育学研究科 教授
博士(工学)。東京都公立小学校教諭、富山大学教育学部助教授、静岡大学情報学部助教授、玉川大学教職大学院教授などを経て2014年より東北大学大学院教授。2021年より東京学芸大学大学院教授を兼任。専門は教育工学、ICT活用授業、情報教育。中央教育審議会委員,「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」座長、「教育データの利活用に関する有識者会議」座長などを歴任。

GIGAスクール構想で児童生徒の1人1台端末環境が整備された直後の2021年5月、文部科学省は「全国学力・学習状況調査」を実施した。

その結果によると、2020年10月までに整備した自治体とそれ以降に整備した自治体を比較すると、「早く導入した自治体ほどICT機器を活用した取り組みの頻度が高い」という順当な結果が出た。特に、家庭への持ち帰りについての結果は顕著であり、2020年10月までに導入した自治体では、小学校で48.1%、中学校では51.6%がすでに端末を持ち帰って利用している。一方、2020年10月以降に導入した自治体で端末を持ち帰らせている学校は小・中学校とも2割に満たないことが明らかになった。

こうした進捗状況を踏まえ、東北大学大学院・東京学芸大学大学院の堀田龍也教授は「導入時期に半年程度の差があっただけで、活用頻度に大きな差が生じています。逆に言えば、現段階で活用が進んでいない自治体も、試行錯誤していけば半年も経てば、…

(※全文:2508文字 画像:あり)

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