DX部署を新設、出張・経費管理クラウドで研究費・経費管理を効率化[AD]

慶應義塾大学では2020年11月にデジタルアドミニストレーションオフィスを新設し、デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務効率化を推進。翌年12月には湘南藤沢キャンパスで、株式会社コンカーが提供する出張・経費管理クラウドを導入予定で、IBM 社と要件定義を進めている。

2019年度までの実証実験で、コンカー導入の効果を検証

下山 千尋

下山 千尋

慶應義塾大学
デジタルアドミニストレーションオフィス

慶應義塾大学は東京、神奈川に6つの主なキャンパスを持ち、10学部、13研究科、1専門職大学院がある。2020年11月には、最新の ICT 技術を活用し、ワークスタイルや業務プロセスを改善、効率化するため、デジタルアドミニストレーションオフィスを新設した。

「学内では長年、経理財務と研究費管理の2つのシステムを並存させて運用してきましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるキャンパス閉鎖等を経て、様々な課題が顕在化しました」

慶應義塾大学デジタルアドミニストレーションオフィスの下山千尋氏は、こう語る。まず、請求書や申請書類は原則的に紙で、研究者が学外から経費申請できないなどの課題があった。また、申請書や伝票への入力など単純作業の負荷が高く、同じ情報を何度も入力・転記・チェックするなど非効率なフローもあった。

「これらの課題を経理財務システムだけで解決するのは困難で、システムのリプレースを検討すると共に、課題解決に役立つ経費精算システムの導入も必要と判断しました。そして2020年9月にコンカーの導入を決め、契約することになりました」

コンカーの正式な導入に先立ち、2019年度まで実証実験を行い、以下のような効果が期待できると判断した。まず、業務効率化の観点では、紙の申請書を廃止し、経費の入力や申請、承認を同一システム上で完結できる。学外からのアクセスも可能になり、申請・確認・承認作業の効率化が期待できる。

一方、ガバナンス高度化の観点では、入力ルールの設定やチェックの自動化が、コンカーの監査ルール設定機能で実現できる。さらに、リアルタイムでの残高確認が可能で、計画的な予算執行もできると考えられた。

コンカー導入後に期待される、業務フローにおける変化

民間企業からの研究費で備品を購入したケースで現行の紙の業務フローを見ると、まず、研究者が予算残高を会計部門に確認し、会計部門は研究管理システム、またはエクセルでそれを確認して研究者に伝える。研究者は業者に見積依頼をし、業者は見積書を研究者に提出する。

その後に研究者は支出依頼書を作成し、見積書、相見積書、購入請求票と共に事務部門に提出する。学術研究支援部門では、担当者が執行ルール確認を行い、課長が承認する。

さらに、その書類を会計部門に提出し、会計部門は担当領域を確認する。会計部門では、担当者や主任、課長らに承認を求め、内容が良ければその後、管財部門へ書類を回す。管財部門は内容を全体的にチェックし、最終的に業者に発注行為を行う。

業者はその後、物品を納品するが、納品書と請求書を研究者に届け、納品検収を経た後、研究者は会計部門に納品書、請求書を提出、会計処理に回す。「現行の業務フローでは、これらだけで約21工程になることがあります」。

一方、コンカー導入後の業務フローを見ると、まず研究者は予算の確認をコンカー上で行う。そして残高を確認できたら業者に見積書を依頼し、見積書が届いたらコンカー上で購入申請を行う。購入申請は学術研究支援部門、管財部門、会計部門が同じシステムで確認し、内容が良ければ承認して業者に発注する。

発注された業者は物品を研究者に納品書と共に届けるが、請求データは自動で、外部連携ツールとも連携できる。また、データが連携されたコンカー上で執行ルールを自動チェックでき、自動チェックされたデータはそのまま流れていく(図)。

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「このフローでも事務部門が目視することはありますが、ある程度、自動的に進みます。コンカーと連携されたデータは研究者が確認し、内容を付加しますが、研究費の選択は納品書の添付などで済みます。事務に流れたデータの最終的な承認がコンカー上で済んだら、研究費管理システムに自動で連携されます。これと同時に、起票される仕組みを想定しています」

経費精算業務の効率化を目指し、外部サービスとも連携

コンカーの導入は2021年12月に湘南藤沢キャンパス(SFC)で、一部資金を対象に始める予定だ。そのため、現在は民間企業での導入経験が豊富な IBM 社と要件の定義を進めている。また、経費精算業務の効率化などを目指し、以下の外部サービスとも連携させる予定だ。

第1に、電子請求ではインフォマート社の B to B プラットフォームを導入予定だ。このサービスでは請求書を電子で受け取り、品名・金額などの情報をコンカーに自動連携できる。

第2に、三井住友カードのコーポレートカードが挙げられる。カードの使用に関するデータをコンカーに連携すれば、明細・支払先・金額といった情報を受け取れる。

第3に、大学生協とのデータ連携がある。大学では生協との取引が大半を占め、納品データをコンカーに投入すれば、自動連携と同様の動きを実現できる。第4に AI-OCR があり、ファーストアカウンティング社の Remota を導入予定だ。

コンカーは2022年以降、SFC 以外のキャンパスでも順次、展開予定となっている。他方でまだ様々な課題も残っている。

例えば、現在の業務フローや規程の見直しがある。キャンパスごとに異なる承認フローや内規が多数存在し、他のキャンパスでは適用できないことも考えられる。

今年12月のコンカー導入の際は、電子帳簿保存法には対応しない予定だが、この点は今後検討していく方針。さらに見積書・納品書・請求書の電子化については、省庁・関係機関と交渉していく必要があると考えている。

「電子化への大きな流れがあるものの、紙の監査と比較して根拠としての能力を落とさない、コンカーを使ってもそれらが担保されることが必要になります」

また、資金元は多種大量で、電子化を進めるに当たっては、それぞれの資金元に対する地道な説明も必要になる。今後は、それらの課題に対応していく方針だ。

【お問い合わせ】

株式会社コンカー

株式会社コンカー
e-mail:info_japan@concur.com
Tel:03-4570-4675(平日 10:00-17:00)

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