対話を重ねて納得解を得る 民主的な社会の創り手を育む学校へ

次期学習指導要領に向けた「論点整理」では、子どもの権利の保障と社会参画の推進が改めて明確になった。学校や地域が子どもの声を活かし、共に学びの場や社会環境を創ることが目指されている。筑波大学助教の古田雄一氏に、その意義と現場に求められる対応など話を聞いた。

教育課程の硬直性を越えて
持続可能な民主的社会を創る

古田 雄一

古田 雄一

筑波大学 人間系 助教
専門は教育学(教育政策/教育経営)。子どもの声や社会参加、シティズンシップ教育、公教育と民主主義、日米の現代教育改革、学校改善を支える教育行政・政策の在り様に関心をもち、日本と米国を主なフィールドとして研究に取り組む。生徒参加による校則見直しや学校づくり、子どもの意見を政策に反映する取り組みなどに携わる。こども家庭庁「こども家庭審議会基本政策部会こども・若者参画及び意見反映専門委員会」委員を務める。『現代アメリカ貧困地域の市民性教育改革―教室・学校・地域の連関の創造』(東信堂)ほか著書・論文多数。

── 今回の「論点整理」の内容をどのように受け止めましたか。

古田 これまでの日本の教育課程は、全国一律の仕組みを基盤としてきましたが、「論点整理」ではそうした前提に踏み込み、標準授業時数の弾力化を可能とする「調整授業時数制度」の導入をはじめ、多様化する社会状況や子どもたちのニーズに対応する弾力化と包摂性の方向が明確に示されたと思います。マイナーアップデートにとどめず、教育課程のあり方そのものを見直し、学校教育の変革を目指そうとする姿勢を感じました。

── 先生がご専門のシティズンシップ教育の観点から、重要と思われたところを教えてください。

(※全文:2683文字 画像:あり)

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