地域ニーズに応える産官学連携の越境学習リカレント教育を展開[AD]

コロナ以降の働き方の変化を通して、経済活動のあり方などが見直されている今。新たに立ち上がった、企業と市、大学がワンストップでつながる一般社団法人「大学都市神戸 産官学プラットフォーム」と越境学習リカレント教育プログラムの内容や意義について神戸市に話を聞いた。

神戸市内の大学、高専など
学生の約7割が参画

坪田 卓巳

坪田 卓巳

神戸市企画調整局 リカレント教育コーディネーター

海と山に囲まれ自然豊かでありながら、海外に開かれた港湾都市である神戸。貿易や造船、鉄鋼、観光、日本酒までと多彩な産業が存在し、市内だけで大学・短期大学は23、学生数は約7万の大学都市であることでも知られている。

それにもかかわらず、市が抱えている問題は深刻だ。「学生は多いが、卒業後に東京や大阪、市外へ出てしてしまう」と、神戸市企画調整局の坪田卓巳氏は話す。実際、他府県への人口流出は加速傾向にあり、市内大学生の市内企業への就職状況は約17%(2016年度)。18歳人口も、30年前から約40%減少している(2019年時点)。

1月29日に開催した法人設立のオープニングイベントの様子。写真左から田中悟氏 (神戸市外国語大学学長)、中村恵氏(神戸学院大学学長)、久元喜造氏(神戸市長)、髙士薫氏 (神戸新聞社相談役)、 藤澤正人氏(神戸大学学長)、中井伊都子氏(甲南大学学長)

この地域課題の解決に向け、産官学が連携する「大学都市神戸産官学プラットフォーム」が2023年11月に一般社団法人として設立。

参画団体は神戸大学や神戸学院大学、甲南大学、兵庫県立大学、神戸市外国語大学などの10大学・1高専に加え、損害保険ジャパンなど25社(2024年1月29日時点)。なお、参画する大学等の学生数は神戸市内の約7割を占める。

人材の育成と定着を目指して
三宮に交流拠点も新設

大学都市神戸産官学プラットフォームでは「チャレンジし続けるグローカル人材の育成・定着を通じて産業・大学・地域がともに進化していく神戸」を目指す。このため、「優秀な人材の獲得」、「人材の育成と定着」、「地域社会への貢献」と3つの柱を軸に、産官学共創プロジェクトを組成、展開していく予定だ。

主なプロジェクトは4つ。1つ目は「大学カリキュラムとインターンシップ・就職活動との接続」。大学単位認定措置との連携や企業からの採用優遇措置の設計、有償型プログラムの提供など、採用直結型とペイド型(報酬型)の2軸で展開する。

2つ目は将来の生産年齢人口の減少を見据えた「神戸外国人高度専門人材育成プロジェクト」。特定技能を取得するまでに必要な日本語習得や留学費などのサポートを行うもので、介護分野に加え観光分野も検討中だという。3つ目は、「灘の酒」が神戸ブランドとして持続的な発展ができるよう、国内はもとより世界に発信し、神戸の活性化を目的とした「灘の酒プロジェクト」。

4つ目は「リカレント(リ・スキリング)プロジェクト」だ。複数の大学が連携を取ることで、脱炭素、環境、農業、DX、多文化共生などといった企業のニーズに合わせたリカレント教育プログラムを作っていく。

「リカレント教育というと、日本では生涯学習や就業時間外の自己研鑽のような文脈で語られることもありますが、神戸市が進めるリカレント教育は、企業の事業戦略や新規事業開発などに紐付けて、企業で働く中で行っていくものだと定義づけています」

プラットフォームの活動・交流拠点で新設された「KOBE Co CREATION CENTER」

また、プラットフォームの活動・交流拠点として、三宮駅前のセンタープラザ9階に「KOBE Co CREATION CENTER」を新たに設けた。事務局も常駐し学生・研究者や社会人が立場や世代を超えて交流し、プロジェクト組成につながる関係づくりを目指し、スピード感のある連携を期待する。

「学生や大学研究者、企業関係者にも交通利便性が高い場所です。講義室、会議室、交流スペース、コワーキングスペースを備えているので、日常的に学生・研究者や企業の方がフラットな形で、対話や交流できるような場になればと願っています」

神戸市内の社会課題に挑む
越境学習リカレント教育

「産官学連携による越境学習リカレント教育プログラム」ではデザイン思考などを学んだ

注目したいのは、地元企業の要望が高かったというリカレント(リ・スキリング)プロジェクトだ。神戸市は、文部科学省の「地域ニーズに応える産官学連携を通じたリカレント教育プラットフォーム構築支援事業」の採択を受けており、先述の一般社団法人立ち上げに先行して、産官学からメンバーを募り、リカレント教育プロジェクトチームを設置。複雑で先の見えないVUCAの時代、新たな事業をセクターを超えて共創できるようなイノベーション人材を育成していきたいという企業のニーズを踏まえて、大学だけでなく地域のNPOの協力も得ながら、1月には、第1回目となる「産官学連携による越境学習リカレント教育プログラム」を実施した。

参加者は20代から30代をメインとする神戸市内企業の次世代リーダー候補者、神戸市職員ら20名(男性12名、女性8名)。

講師には、ヤマガタデザインの山中大介代表取締役や神戸大学大学院経営学研究科・V.Schoolの内田浩史教授、認定NPO法人まなびとの中山迅一理事長などを迎えた。

「本プログラムは地域のNPO団体と連携して社会課題に取り組むことが特徴です」と坪田氏。デザイン思考などを学んだうえで、フィールドワークやワークショップを取り入れたアクティブな学習でビジネス視点も取り入れた社会課題を解決するアイデア・プランを構築していく計5日間のカリキュラムだ。

「今回の課題は市内在住の『外国人留学生の生活上の課題を発見し、解決するための事業を考えること』。バングラディッシュやネパールの留学生に直接ヒアリングを行う機会も設けました。非漢字圏の学生が抱える日本語習得の難しさなど、外国人留学生を取り巻く課題は解像度を上げていくとかなり複雑です。プログラムを通して、参加者の社会課題を見る粒度が上がったのではないでしょうか」

最後に坪田氏は「普段は、経済価値の向上をベースに、事業活動に取り組む民間企業の受講者にとって、NPO法人の協力のもと、自社の枠を超えて、社会課題に挑むといった越境型の学びは様々な気づきがあったようです。プログラム終了後は参加者等のアンケートも行ってプログラム自体の効果や評価方法も検討しますので、こうした結果なども活かして、今後も産官学が連携した新たなプログラムの開発にもつなげていきたいですね」と締めくくった。

【お問い合わせ】

神戸市企画調整局
TEL : 078-322-6581

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