義務教育無償の観点から国と自治体で給食費無償化の推進を

学校給食費を保護者から徴収せず、公費で賄う制度が自治体で広がっている。一部報道では、無償の実施に踏み切った自治体は全体の約3割に達したという。2019年に著書『隠れ教育費』を上梓し、給食費無償化の必要性を指摘する千葉工業大学の福嶋尚子准教授に話を聞いた。

全国で進む給食費無償化
地域格差も明白に

福嶋 尚子

福嶋 尚子

千葉工業大学 准教授
新潟大学大学院教育学研究科修士課程を経て、2011年東京大学大学院教育学研究科の博士課程に進学。2015年度から千葉工業大学にて教職課程に助教として勤務し、2021年准教授(現職)として教育行政学を担当。日本教育事務学会、日本教育政策学会で常任理事も務める。主な著書に『隠れ教育費:公立小中学校でかかるお金を徹底検証』(太郎次郎社エディタス。栁澤靖明と共著)、執筆書に世取山洋介・福祉国家構想研究会編『公教育の無償性を実現する:教育財政法の再構築』(大月書店)などがある。

── 2023年12月、東京都が公立小中学校の給食費無償化を支援する方針を打ち出しました。

ここ数年、給食費無償化は全国的に目覚ましい進展がありますが、予算的な事情もあり自治体間格差が生じている実情があります。検討している自治体は多くても実施となると、まだまだマジョリティとは言えません。ただ、コロナ禍や物価上昇の中、給食が子どもたちの生存や健全な学習機会の保障に深く関与していることが明白になりました。これらが無償化を推進する自治体が増えている背景だといえます。貧困家庭の増加など格差社会が広がる中で、子どもたちの権利保障を担保するには、自治体に丸投げという状況はもう通用しないだろうと思います。国が人権問題として責任を果たしていく。全国レベルの給食提供義務と無償化義務を国で整えていかないと、地域格差は解消しないでしょう。

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