「海洋産業AI人材」の育成を支えるGPU搭載ワークステーション[AD]

東京海洋大学は、海洋産業AI人材育成を目指し、2020年4月、「海洋産業AIプロフェッショナル育成卓越大学院プログラム」を開始した。国内トップレベルの海洋ビッグデータを活用すべく、GPU搭載の高機能なワークステーション「HP Z4 G4 Workstation」20台を導入している。

海洋ビッグデータを分析する
人材と計算資源の不足が課題に

井関 俊夫 東京海洋大学 学長(右)
庄司るり 同大学 理事・副学長、海洋AI 開発評価センター長

東京・品川と越中島にキャンパスを置く東京海洋大学(以下、海洋大)は、ともに120年以上の歴史を持つ国立大学の東京商船大学と東京水産大学が統合し、2003年に設立された国内唯一の海洋系大学だ。

2015年に策定した「ビジョン2027」のもと、2016年度から大学改革を推進する海洋大では、2020年4月から博士課程5年一貫教育プログラム「海洋産業AIプロフェッショナル育成卓越大学院プログラム」を展開。これは海洋大が有する海洋・海事・水産の専門知識とフィールドに関する豊富な経験をもとに的確にAIを用い、その社会実装を主導する海洋AIイノベータを育成するためのプログラムだ。設立の背景について、庄司るり理事・副学長は次のように説明する。

「本学では、2010年から先端ナビゲートシステムと呼ばれる、船舶運航に必要な情報を収集・解析するシステムを運用し、実船を活用した遠隔操船実験を行っています。東京湾を運航する船舶の航行データやレーダ映像、気象庁から入手した風や波の状況などのデータを一手に管理しているため、本学には過去10年以上にわたる膨大な海事ビッグデータが蓄積されています。これらを高度なAI技術を用い分析することで、船舶の最適航路選定や海洋環境の保全活動、漁業のAI化など、海洋産業が抱えるさまざまな課題解決につなげたいと考えていたのです」

「大量の実データを持っていることは本学の強み」と庄司理事・副学長が話す一方、海洋大では膨大な海洋ビッグデータの分析に際し、人的・物的なリソース不足という課題を抱えていた。大学改革を牽引する井関俊夫学長は次のように話す。

「ビッグデータの分析を行うには専門の人材はもちろん、容量や計算速度を備えたそれ相応のコンピューターが必要です。手元には貴重なデータが時々刻々と蓄積されていますので、一日も早くなんとかしたいという思いで、ビッグデータ解析とAI 教育のための高性能計算機の導入を決めました」

GPU 搭載のWS20台を導入し
海洋ビッグデータの活用を推進

ワークステーション「HP Z4 G4 Workstation」20台を設置した「海洋AI 開発評価センター」

同プログラムでは目指すべき人材像として、「海洋×AI」ハイブリッド人材と、産業社会と強く結びついたAI実装知見・経験を有する高度専門職業人を掲げている。こうした人材を育成すべく、海洋大が新たに整備したのが、AI教育・研究施設とコンソーシアムだ。

まず2019年11月、越中島キャンパス内に「海洋AI 開発評価センター( 以下、MAIDEC)」を設置し、NVIDIAのAIサーバー「NVIDIA DGX-1」3台、「NVIDIA DGX Station」1台、GPU「Quadro P2200」を搭載した日本HP製のワークステーション「HP Z4 G4 Workstation」20台を導入した。液晶モニターはIPS 液晶採用によって広い視野角を実現し、見る角度による色度変化を抑え、明瞭に見渡せる「HP Z23n G2プロフェッショナル液晶モニター (23インチ)」を選択。ワークステーション導入を主導した、海洋工学部の古谷雅理教授は、次のように振り返る。

「システム構築に際し、計算機に求めたのは、膨大なデータを高速で演算できる機能と、学生が慣れている汎用的な機能でした。私が求める機能を備えた計算機として、日本HPの製品を紹介されたのですが、実際に見てみると思った以上に高性能で非常に満足のいくものでした。導入時には、日本HPや菱洋エレクトロの協力があり、いろいろなアドバイスをいただきながらシステムを構築することができました」

日本HPとNVIDIAの一次代理店である菱洋エレクトロは、半導体/デバイス事業とICT/ソリューション事業を手掛けるエレクトロニクス商社。同社は両事業を展開する強みを生かしたIoT/AIなどをキーワードにしたビジネスに注力し、最先端の半導体技術を提案する一方、エッジからクラウドまでを幅広くサポートし、多様な産業分野のクライアントに対し、ビジネス課題のソリューションを提案している。

現在、同プログラムの学生の多くがワークステーションを活用し、自身の研究課題の解決に取り組んでいる。ネットワーク環境を整備したことで、各自の研究室や自宅からリモートでGPUリソースにアクセスが可能となり、コロナ禍でも各自がスムーズに研究活動に取り組んでいる。

竹縄 知之 東京海洋大学 教授、海洋AI 開発評価センター副センター長(右)
木野 亨 同大学 特任准教授

次世代海洋産業を担う人材育成に
全学を挙げて産学連携で取組む

さらに2020年11月には、他大学や研究機関、企業等と共に「東京海洋大学海洋Alコンソーシアム」を設立。MAIDECを中核拠点としながら、ゲスト講師を招いての授業やワークショップ、インターンシップなどを展開。実学を重視した教育研究によって、海洋の様々な領域でAI技術の実装を先導する人材を育成していく。

海洋AIコンソーシアムとのコーディネーターを担当する木野亨特任准教授は、「例えば『流体シミュレーションへの超解像適用』を研究テーマとする学生は、インターンシップによって『AIを活用した大気重力波の推定』の経験を積んでいます。この様に海洋×AIによる専攻分野を超えた学びによって深い洞察力や俯瞰的な知見を獲得しています」と話す。

また、今後について、MAIDEC副センター長の竹縄知之教授は「ある意味、公共の資源とも言える海洋ビッグデータを、オープンな形にしていくことも重要だと思います」と話す。

将来的には「海洋大に相談すれば、良いアドバイスがもらえたり、共同研究ができる」と思われるような海洋AIの専門組織にしていきたい、とも語った。

最後に、井関学長は「今後の海洋産業を見据えれば、ビッグデータ解析や機械学習をリテラシーとして身につけながら、異分野との協働によってイノベーションを起こしていく人材が求められます。学生には、5年一貫の博士課程を通じ、ツールとしてのAIやデータサイエンスの技術を身につけ、海洋関連の様々な課題解決を主導できるリーダーとしての活躍を期待しています」と締めくくった。

【お問い合わせ】

菱洋エレクトロ株式会社
ソリューション事業本部
ソリューション第5 ビジネスユニット
TEL:03-3546-6211
Mail:nvidia_ws_info@ryoyo.co.jp

この記事に関するお問い合わせは以下のフォームより送信してください。