東工大と東京医科歯科大の統合により新国立大学「東京科学大学」が誕生
10月1日、東京工業大学と東京医科歯科大学が、それぞれを運営する法人ごと統合。1法人複数大学制(アンブレラ方式)ではなく1法人1大学制を取ることで、新たな国立大学「東京科学大学」が誕生した。国立大学法人としては初めて理事長を置くなど、新しい試みに取り組む。
国立大学法人の統合としては
4例目も、大学自体の統合は初
10月1日、東京工業大学と東京医科歯科大学の統合により、新たな国立大学「東京科学大学」が誕生した。英語表記は「Institute of Science Tokyo」で、略称は「Science Tokyo」。
統合に向けては2022年、東工大の益一哉学長と東京医科歯科大の田中雄二郎学長(いずれも当時)が協議を開始。同年10月には合意に達し、2023年12月、両大学の統合を盛り込んだ「国立大学法人法の一部を改正する法律」が成立。10月1日、同法の施行に伴い、統合が実現した。
国立大学において、統合による新法人の誕生は、2020年4月の「東海国立大学機構」(岐阜大学と名古屋大学を運営する法人の統合による。以下同様)や、2022年4月の「奈良国立大学機構」(奈良教育大学と奈良女子大学)および「北海道国立大学機構」(小樽商科大学、帯広畜産大学、北見工業大学)など過去にも例があるが、新大学の誕生はこれが初めてとなる。
Science Tokyoには理学院、工学院、物質理工学院、情報理工学院、生命理工学院、環境・社会理工学院の6つの「学院」と、医学部と歯学部の2つの学部、医歯学総合研究科と保健衛生学研究科の2つの研究科を設置。「学院」は学士課程と大学院課程を横断したもので、学院内には数学系、物理学系、化学系など各種の「系」が置かれている。
国立大学法人としては初めて
理事長を置き、経営と教学を分離
理事長には大竹尚登氏(元・東工大科学技術創成研究院教授・研究院長)が、学長には田中雄二郎氏(元・東京医科歯科大学長)が就任。
国立大学法人が理事長を置くのはこれが初めてとなる。学長は教学に、理事長は経営に専念。これにより、経営と教学を分離する。
大学の理念は「『科学の進歩』と『人々の幸せ』とを探求し、社会とともに新たな価値を創造する」。
大竹尚登理事長は「社会とともに善き未来を描き、その未来に向けて、新学術の創成や感染症・カーボンニュートラルなどの社会課題への対応に挑戦していく、活力と善意に満ち溢れた大学を創成する」、田中雄二郎学長は「1人ひとりが伸び伸びと自己実現していくことができるよう、『科学の進歩』と『人々の幸せ』のいずれか、あるいは両方を追い求めていく場を築いていきたい」としている。
東京科学大学提供