緊急提言「こども庁」創設 Children Firstを目指して

2021年4月から議論が急速に進んでいる「こども庁」は、子どもを産み育てやすい社会を作る構想として注目を集める。子ども行政について長く検討を進めてきた山田太郎参議院議員に、同庁創設の構想者の立場から語っていただいた。

自民党はこの4月、子育てや教育に一体的に取り組む「こども庁」の創設にあたる検討を始めた。6月初旬に閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)へ盛り込み、2022年秋もしくは2023年の創設を目指している。

子どもの課題に責任を持つ、子ども政策の司令塔を明確化

――こども庁の理念や主たる目的は何でしょうか?

山田 太郎

山田 太郎

参議院議員
慶応義塾大学経済学部卒、早稲田大学大学院博士課程単位取得退学。外資系コンサルティング会社を経て製造業専門のコンサルティング会社ネクステック社を創業、3年半で東証マザーズに上場。国内・海外企業を買収、中国を含むアジア各国に積極展開。その後日本企業の海外進出支援会社を創業。東京工業大学特任教授、早稲田大学客員准教授、東京大学工学部非常勤講師などを歴任。参議院議員に就任。これまでの経営者・教育者の経験を活かすステーツマン(政治家)として活躍中。

わが国は、今こそ「Children First(子ども最優先)」の子ども・子育て施策に大きく舵を切る時です。世界的には国連の子どもの権利条約があり、各国にも子ども基本法がありますが、日本には子どもの権利を包括的に定めた法律がありません。子どもの権利を守るために、子どもの医療・保健・療育・福祉・教育を一元的に所管する、こども庁の創設が求められます。

また、こども庁創設が求められる最大の理由は、子どもに関する行政組織を一元化することで、抜け漏れがない迅速な対応を実現するためです。縦割り行政の弊害の最たる例が、児童虐待問題です。たとえば、子どもの虐待が報告された場合、どの省庁が担当なのかを決めるだけで時間が掛かり...

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