イノベーション人材に求められる素養
イノベーションでは、現状の事業の延長線上にないアイデアを考え出すことが求められる。では、現状の事業の延長線上にないアイデアとは、どのようなもので、そのためにはどのような素養が求められるのだろうか。本稿では、この根本的な疑問について改めて問い直す。
イノベーション人材に求められる、仮説思考と非分析的思考

田浦 俊春(たうら・としはる)
最先端技術をどのように社会に生かしイノベーションを起こすのかなど、イノベーションのためのデザイン(構想)が専門。博士(工学)(東京大学)。神戸大学大学院教授を経て、2018年より現職。
我々は、新事業の提案があると、ごく普通に次の質問をするだろう。
「その新事業が妥当である(成功するであろう)ことを裏付ける客観的な根拠(エビデンス)を市場動向等のデータで示して下さい」
誰もこの質問自体が間違っているとは思わない。ところが、このような質問をする姿勢自体に、イノベーション思考を阻害する致命的な問題が隠されているのである。なぜならば、客観的な根拠を基に議論するということは、その思考が3段論法的な演繹的なものであることになるが、演繹的な思考からは、本質的に新しいことは…
(※全文:2002文字 画像:あり)
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