学びが起こり得る「関係性の場」を育む。「システム思考」を学ぶ意義

VUCA時代のコーチングの可能性を紐解く本連載。第四回は、組織論の名著『学習する組織』の著書であるピーター・センゲ氏の下で学び続けながら、学校現場の先生へ「学習する組織」や「システム思考」の考えを広げるワークショップを行う福谷彰鴻さんに話を伺った。

先生たちが学ぶ
「システム思考」とは?

福谷 彰鴻

福谷 彰鴻

システム思考教育家
『学習する組織』著者ピーター・センゲから10年以上にわたって教えを受ける直弟子。システム思考をはじめ「学習する組織」の一見複雑なコンセプトやツールを普段使いの言葉で伝える。長野県立大学ソーシャルイノベーション研究科客員准教授、クマヒラセキュリティ財団システム思考教育アドバイザー。

岡田 裕介

岡田 裕介

株式会社THE COACH 代表取締役
株式会社パーソルキャリアに入社。転職支援・採用コンサルティングに従事。その後、オルタナティブスクールを運営する教育系の一般社団法人を共同設立・副代表理事に就任。独立後は、認定プロフェッショナルコーチとして、スタートアップ企業の経営者・CxO・マネジメントクラスを中心にコーチングを提供。国際コーチング連盟認定コーチ(PCC)。

岡田 他者と対話をすることで気づきが生まれて、行動が変わり、現実が変わっていく。システム思考とコーチングには共通した価値観が根付いているように感じます。そもそもシステム思考とは何か、改めて教えてください。

福谷 システム思考とは、単独の要素ではなく、2つ以上のものが互いに影響し合う相互関係性に着目して現実を考えるアプローチと言えます。「システム」と聞くとITや機械的なイメージを抱かれる方が多いのですが、ここでのシステムという言葉は「相互依存性」という意味です。

例えば、今日私と岡田さんが対話をしていますが、私たちの関係性や話す場所、今日の体調などいろんな要素によって、私が話す内容は少しずつ変化し、岡田さんのリアクションも変わってきます。家族やチーム、社会、生態系など、つながり合い影響し合うものにおいては、何か1つが違うとほかも変化して、誰も意図しない成果がつながりから生み出されます。

このように「私たちは互いに影響し合っている」という前提に立ち、…

(※全文:3279 文字 画像:あり)

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