地域に加わり、地域の学びを耕す 多様な分野の「プロ」の存在

「社会に開かれた教育」が文部科学省によって掲げられ、中央教育審議会部会では「教職員だけでなく外部人材も学校教育の本丸として学校を支えていくものになるだろう。」という言葉も飛び出した。地域の様々な分野の「プロ」は、地域の学びをいかに耕すのか。

文部科学省が掲げた「社会に開かれた教育」*のために、地域で学びを耕す「プロ」の存在は必要である。彼らの現場知は教科書に載らない“生きた知”として、探究・キャリア教育を始めとした学びを厚く、豊かにする。

本稿では事例を二つ紹介する。一つは、町づくりのプロが地域の子どもたちの学びを広げている事例。もう一つは、漁業のプロが一次産業に触れる機会を創出している事例だ。中でも、後者は、コエルワ代表の阿曽沼陽登との対談で深堀りしていく。

北海道喜茂別町
キャリアの可能性に気づく学びを
カフェから教育現場へ

北海道喜茂別町では、元地域おこし協力隊の加藤朝彦氏が開いた「カフェ&シェアスペース tigris(チグリス)」が、地域と教育を結ぶ拠点になっている。加藤氏はチグリスで移住相談や定住支援、住民の挑戦の伴走を行う、まちづくりのプロだ。

その傍らで、中学校のキャリア教育に積極的に関わっている。3年間を通じて段階的に起業について学び、最後は自分の進路について考える学年縦断のキャリア教育設計やまちづくりのプロの視点を活かした地域課題を解決するプログラム、町内の多様な大人に出会うプログラムなどを実施している。自身と学校の双方にとって無理のない「共助」の形で学校教育に関わり、「好きなことを仕事にできるんですね!」と言う子どもたちの反応に、大きな手ごたえを感じている。

(※全文:2688文字 画像:あり)

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