組織の中の人間行動を科学する 組織行動学で目指すイノベーション

VUCA 時代において、マネジメントに組織行動学を取り入れる向きが広がっている。能動的な従業員の育成や、より良い組織のあり方について、行動科学の専門家である神戸大学の鈴木竜太教授に、6回にわたって連載いただく。

コロナ禍における組織行動

鈴木 竜太

鈴木 竜太

1971年生まれ。1994年神戸大学経営学部卒業。ノースカロライナ大客員研究員、静岡県立大学経営情報学部専任講師を経て、現在、神戸大学大学院経営学研究科教授。専門分野は経営組織論、組織行動論、経営管理論。著書に『組織と個人』(白桃書房、2002年:経営行動科学学会優秀研究賞)、『自律する組織人』(生産性出版、2007年)、『関わりあう職場のマネジメント』(有斐閣、2013年:日経・経済図書文化賞、組織学会高宮賞)、『経営組織論(はじめての経営学)』(東洋経済、2018年)、『組織行動̶組織の中の人間行動を探る』(有斐閣、2019年)など。

新型コロナウイルスによる感染症で、多くの組織が様々な問題に直面している。場合によっては困難ばかりではなく、市場が拡大している分野もあるが、いずれにしても新しい状況に対応するスピードが重要になってきている。また、常にマニュアル的に判断するのではなく、個々人が判断・行動して新しいものを生み出していくことが求められる。

こうした状況の中で、自発的に行動できる環境や、失敗を恐れず許容する雰囲気作りが大事だ。組織も従業員も、自発的に「やってみよう」という意思を尊重することが、今求められている。トライ&エラーという考えは、とくに教育現場では根付きにくいきらいがあるが、失敗をある程度許容する体質が必要だ。なぜなら、子どもの教育は生もののようで、時には手探りで進めていかなければ…

(※全文:2243文字 画像:あり)

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