特集2 多様な学びの場 一人ひとりの学びを保障する
文部科学省は「学びの多様化学校」の設置促進など、多様な学びの場の確保に向けた施策を推進している。多様な個性や特性、背景がある子どもたちがいる中、それぞれのニーズに対応した多様な学びの場づくりが求められている。本特集では様々なテーマに焦点を当て今後を展望した。
学びの多様化学校の設置促進
文科省が進める学びの場づくり
文科省の2024年度調査によると、小中学校の不登校児童生徒数は過去最多の35万人超と増加傾向にある。文科省では「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」(23年3月)を策定。同プランでは「不登校特例校」(現在の「学びの多様化学校」)の設置促進により全国300校を目指すこと、校内教育支援センターの設置促進などを掲げている。同プラン等に基づき26年度予算では「専門家を活用した教育相談体制の整備・関係機関との連携強化等」において、校内教育支援センター支援員の配置や学びの多様化学校の設置促進に予算を盛り込んでいる。
26年4月に新たに開校した学びの多様化学校は25校で、設置形態別の内訳では、本校型は9校、分校型は6校、分散教室型は8校、コース指定型は2校だった。同年4月の開校を含めると公立学校は59校、私立学校は25校で全国84校となった(図表1)。子どもたちの多様な学習機会の確保に向けた様々な取り組みが進んでいる中、教育行政学を専門とし、不登校支援やオルタナティブ教育について研究を行う東北大学准教授の後藤武俊氏に、日本の不登校政策や米国の取組みなどについて話を聞いた(➡こちらの記事)。
拡大する通信制高校・サポート校
オルタナティブスクールの学び
不登校児童生徒の増加に伴い、学びの選択肢として、通信制高校やオルタナティブスクールへの注目も高まっている。そして通信制高校では、その拡大を背景に、サポート校の役割も一層多様化している。
こうした中、愛知学院大学准教授の内田康弘氏には「通信制高校・サポート校の拡大と社会的意義・課題」をテーマに、サポート校の法的位置づけと学習等支援施設としての役割・展開、多様な学びの可能性と、制度と実態の境界線をめぐる課題などについて寄稿いただいた(➡こちらの記事)。
また、2024年4月、神奈川県逗子市に開校した逗子オルタナティブスクールFRASCOは、小学4年生~中学3年生を対象に多様な「人」「もの」「コト」に出会い自分色を育む学びを展開している。学びのコンセプトは「クリエイティブ・ラーナー(創造的学習者)」だ。その出発点は自分自身の感性、「自分色」の価値観を見つけ育むこと。そして、自分色を育む仕組みが「FRASCOサイクル」だ。「インプット体験」、「アウトプット体験」、「リフレクション」、「自分を見つめる」の4フェーズが循環する構造になっている。運営する一般社団法人FRASCO代表理事の中村真弓氏に、設立の経緯や学びの特長などを聞いた(➡こちらの記事)。
加速する高校教育改革
遠隔教育が拓く学びの未来
文部科学省は2026年2月、「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)~2040年に向けた『N-E.X.Tハイスクール構想~』」を公表。改革のための基金を都道府県に造成し、先導的な学びの在り方を構築する高校(改革先導拠点)を創設する。
パイロットケースとなる改革先導拠点は①アドバンスト・エッセンシャルワーカー等育成支援、②理数系人材育成支援、③多様な学習ニーズに対応した教育機会の確保の3類型を提示。文科省では1都道府県あたり最大62億円程度の予算を確保し「産業イノベーション人材育成等に資する高等学校等教育改革促進事業」(図表2)として各都道府県に向けた公募を開始。今年5月には、富山県・静岡県の6拠点の採択が公表された。類型3で採択された静岡県立静岡中央高等学校では、多様な学習機会の提供を通じた新しい学びへの転換拠点の形成を目指して、遠隔配信授業×公営塾によるクロス支援プログラムの実施を予定している。
一方、多くの都道府県はまだ採択されていない状況にある。こうした状況を受け、ビデオ会議ソリューションブランド「Neat」を展開するNeatframeは「N-E.X.T.ハイスクール遠隔教育インフラ構築支援窓口」を開設。日本法人代表の柳澤久永氏に話を聞いた(➡こちらの記事)。
本特集では、「多様な学びの場」をテーマに、一人ひとりの学びのニーズをいかに保障できるか。有識者や企業への取材・寄稿を通じて今後を展望した。子どもたちや教育現場の一助となれば幸いだ。

